「北東アジアの平和共存のための日韓フォーラム」に参加して ――日韓の友好関係は市民の手で――

2020年01月15日

働き方ASU-NET 川西 玲子

最悪の時こそ市民の力で

日韓政府関係は戦後最悪の状況と言われる中で、こういう時こそ市民が交流することで関係を改善しようと「北東アジア平和フォーラム」が2 019年12月5日~7日、「冬のソナタ」で知られる春川市(チュンチョン市)で、日韓の市民活動家や研究者等約300人(日本からは140人参加)で開催された。世界で唯一の分断国家であり、分断自治体である江原道庁とその道庁所在地である春川市が主催し、事務局はセリム聖心大学東アジア平和研究所・ソウル大学日本学研究所が担当し、日本は日韓交流を進める希望連帯が担当した。

このフォーラムの目的は、日韓両国の市民の力で未来志向的な日韓関係を構築するための具体的で実践可能な方法を模索することであり、最悪となっている日韓の政府関係を修復して友好関係を構築するには日韓の市民の交流と連帯しかない。私たちは「ローカルtoローカル」「ピープルtoピープル」が大事ではないかという呼びかけに大いに賛同した。

ASU―NETは、大阪の市民運動団体として早くから韓国ソウル市の先進的な「労働政策」や非正規職員の正規職化、また幅広い社会運動に注目し、2016年にはソウル市の青年活動家を招き「韓国青年運動に学ぶ」集いを開催したり、韓国視察にも取り組んできた。今回は岩城穣代表を含め4名で参加した。ASU―NET以外の大阪からの参加者は日本コリア協会の皆さんや元府会議員の堀田文一さん等で多彩な皆さんにお会いすることができた。

分断の現場に立って

フォーラムは美しい子供たちのコーラス、詩の朗読などの歓迎レセプションで始まり、ユン・ジェソン教授の思いがあふれる格調高い挨拶に圧倒された。「第二次世界大戦の痛みから生まれた日本の平和憲法と韓国戦争の傷として残っているDMZ(非武装地帯)を両国の市民の協力によって北東アジア地域における平和遺産として構築していくことを提案したい」「ここからわずか数十キロ北方の休戦ラインでは南北の数十万人の若者がお互い銃口を向けている、その歴史の現場に来られた3日間を通してどの分野で何を協力すべきかを議論し、お互いに深く分かち合うことができる有意義な時間にしたい。両国の市民の継続的な協力によって、韓国と日本の平和を成し、ひいては世界の平和を成し遂げることを切に願います」と分断自治体で開催された意義を訴えた。

希望連帯の白石孝代表は「日韓は権力者によって争いの渦中に投げ込まれている。市民が交流を継続することで解決をはかることができる」と力強く挨拶した。

基調講演では秋葉忠利・前広島市長が被爆地ヒロシマの視点から「こんな思いを誰にもさせてはならない」と被爆の実相からの提案として、トランプ大統領に送った「北東アジア非核地帯」の創設を提起した手紙の内容を紹介した。討論では小森陽一・9条の会事務局長が日本の戦争法反対の取り組みや9条の会の粘り強い取り組みを報告、糸数慶子・前参議院議員は「オール沖縄」の枠組みが沖縄の政治状況を大きく変えた、沖縄県民はこれまで知事選、県民投票、国政選挙など幾度も基地反対の民意を示したにも関わらず一顧だにしない安倍政権を批判、アジアの国々と手を結び共に平和を築きたい」、イ・スフン前駐日大使は、日韓はツートラック外交を今後も維持することが大事であるとし、また南北間の単一市場構想を示した。

8つの分科会でかみ合った具体的協力の議論

分科会では「韓(DMZ)、日(平和憲法)ユネスコ世界文化遺産申請協力」「地方政府間の協力」「福祉協力(学校給食と有機農業)」「メディアの役割」「脱原子力協力」「市民社会での交流協力」など8つの課題で活発な討論が行われた。

私は「福祉協力」の分科会に参加した。話に聞いていた韓国の学校給食費の無償化(小学校90%、中学校70%、ソウル市100%)と有機農産物を使用した学校給食が年々拡大し2021年には全面実施となる。さらに保育や幼稚園に拡大しており、その結果として有機農産物の需要が安定し、有機農業の拡大・推進に大きく貢献している。官主導で政策的に進めている実態をつぶさに聞くことができた。驚きと同時にこの分野でも日本は大幅に遅れていることを実感した。日本でなぜこれができない! 日本では給食費の無償化は4%、調理の民間委託率は 50%を超え冷凍食品が増えている。

総合討論では貧困・格差・差別も平和の敵

宇都宮健児弁護士は日本の貧困と格差の実態を示し「北東アジアでの貧困・格差・差別をなくす運動は平和を創造する運動の一環だ。日米軍事同盟の強化は北東アジアの緊張を高めているだけだ」と安倍政権を痛烈に批判した。

最終日は韓国最北端のDMZ江原道高城の統一展望台訪問

急な坂を上った展望台からは青く穏やかな海と空が広がり、南北の約20万人の兵士が戦死したという激戦地・三五一高地を間近に見下ろすことができた。若い男女が肩を組んで眺めている平和な後姿に、その名の通り「統一展望台」となる事を一日も早くと願わずにはいられなかった。

「反日」ではなく「反安倍」で一致

安倍政権は、日本国内にある嫌韓意識を煽りたて韓国の保守反動勢力と連動して文在寅政権を攻撃し、国内問題から目をそらそうとしている。しかし、韓国市民は安倍政権の意図を見抜き、「反日」ではなく「反安倍」を明確に掲げて反撃している。

日本で今必要なのは、安倍政権の言動を正し、日韓連帯の市民交流・運動を盛り上げること、まさに日本の市民運動の真価が求められていると思った。


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