民主法律時報

不利益変更には本人同意の中身が重要 -第1回労働相談学習会「労働条件の不利益変更について」-

おおさか労働相談センター 事務局長 宮崎 徹

11月18日(火)、「第1回労働相談学習会」が国労大阪会館で行われ、6産別、6地域組織、弁護士・その他から計25名の参加がありました。 おおさか労働相談センター・川辺和宏所長の主催者代表あいさつ、加苅匠弁護士(大阪法律事務所)の労働情勢報告に続き、「労働条件の不利益変更について」の講演が西川翔大弁護士(北大阪総合法律事務所)からありました。

不利益変更は、「労働者の同意」が重要なポイントです。労働条件は労使の合意に基づいて締結し、又は変更すべきであり(労契法3条1項)、労働条件の変更は原則として合意により変更することができる(労契法8条)ことが規定されているからです。不利益変更を労働者が受け入れるような行為があったとしても、直ちに労働者の「同意」があったと評価することはできないとした判例がある一方で、同意がなくても不利益変更下で一定期間就労していると、黙示の同意があったと認定された判例もあります。また、不利益変更された労働条件が、法令(強行法規)、労働協約、就業規則に違反している箇所は無効(労基法13条、労組法16条、労契法12条)です。

具体的対応として、不利益変更の内容は書面で確認する。切下げの理由や必要性、法的根拠を使用者に質問し、説明を求める(労契法4条1項参照)。使用者の説明や同意に至る経緯等が重要であるため、使用者の説明は録音やメモをしておく。即断・即答せず、一旦持ち帰って検討する旨回答し、第三者(労働組合・弁護士)に相談するなど冷静に検討する。既に同意していた場合でも、錯誤、詐欺、強迫、公序良俗違反の規定が適用されないかを検討する。①文書で異議を述べる、②交渉・法的手続き、③賃金請求、地位確認請求、損害賠償請求等の交渉、労働審判、訴訟を検討する。解雇された場合には、解雇証明書の発行を求め、解雇理由を確認のうえ、客観的に合理的な理由がないことを前提に解雇撤回を求める。など段階に応じて対応する必要があること等が話されました。

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