民主法律時報

第4回労働相談学習会を開催

おおさか労働相談センター 遠近 照雄

7月31日(金)午後6時30分から国労大阪会館にて第4回労働相談学習会を開催しました。学習会のテーマは「シフト制労働の問題点等」、7産別・12地域・その他、全体で33名の参加がありました。

裁判判例等の情勢報告では、民法協事務局次長・大阪法律事務所の加苅匠弁護士から5月から7月までの注目すべき裁判例について報告されました。学習会では、京橋共同法律事務所の吉村友香弁護士を講師に迎えて、シフト制についての基本的な知識と設例も設けながら相談を受ける際のポイントについて学びました。シフト制とは、最終的な労働日、労働時間が一定の期間(1週間・半年・1ヶ月)ごとに作成されるシフト表によって確定される働き方であること。シフト制の問題点としては、シフト外し、シフトカットによる不利益、社会保険、雇用保険の問題、雇用保険の「自己都合退職」問題等、労働者が被る不利益について設例にもとづいて対応策を話していただきました。

シフト制労働と休業補償の問題で重要な点は、労働契約の内容とシフトを減らされた理由の2点。その手がかりとして、①労働契約書や採用通知書、就業規則の定め。②面接時に伝えられた勤務日数、勤務時間。③過去の勤務実績、就労実態。「所定労働時間」として事実上定着していたと言えるか。④使用者の言動等をあげられました。

対応策では、所定労働時間・所定労働日よりも実際の労働時間・労働日が少ない場合には「休業」が発生していると評価され、休業が「使用者の都合によって発生した」と言えるかどうかが問題となる。その他、勤務実態から労働時間を特定した裁判例、LINE等のやり取りから労働時間の合意を認めた裁判例、シフト制労働における正規社員と非正規社員の待遇差についても詳細な報告をいただきました。相談に多い「嫌がらせシフトカット」や制裁的なシフトカットについても賃金・休業手当は支払われるべきとし、日頃の嫌がらせを記録化する等の対策が必要とのことでした。最後に、今後の取り組みとして、①シフト制労働の矛盾やデメリットを社会に広げる。②シフト制で働く労働者の希望となるような解決を実現し、労働者の泣き寝入りを救おうと話されました。

 

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