声明

不安定雇用を温存する「研究開発力強化法案」に断固反対し、直ちに白紙撤回することを求める声明

2013年11月29日

 去る27日、大学等に有期労働契約で雇われている教員や研究者、技術者について、無期契約に転換する期間を5年と定める改正労働契約法18条を10年に先延ばしすること等を内容とする「研究開発力強化法」等の改正案(以下、「法案」という。)が、与党議員によって国会に提案された。報道によれば、法案は、28日から実質審議が始められ、与党は会期末である12月6日までに衆参両院で可決・成立を目指しているとされている。

 しかし、法案は内容において重大な問題点があるのみならず、法案審議の手続においてもあまりにも拙速であって、到底容認することはできない。

 労働契約法18条は、有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、労働者が安心して働き続けることができる社会を実現するため、契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込により無期労働契約に転換させる仕組み(無期転換ルール)を設け、有期労働契約の濫用を抑制し労働者の雇用の安定を図るものとされている。ところが、法案は、その期間を10年に先延ばしする特例を定めるものである。これによって、教員、研究者や技術者は長期間にわたっていつ雇用が打ち切られるかわからないきわめて不安定な立場に置かれ続けることとなる。それのみならず、雇止めをおそれて年次有給休暇の取得など労働者としての正当な権利行使が抑制されることとなりかねない。提案者は、「研究開発力の強化及び研究開発等の効率的推進を図る」ことを法案の理由としているが、雇用が不安定であれば優秀な人材は集まらなくなり、いつ雇止めになるかもしれない不安の中では教育・研究に集中することも困難であり、かえって研究開発力は低下・劣化することは必至である。

 改正労働契約法は政労使三者の代表者からなる労働政策審議会での議論を経た上で、本年4月1日に施行されたばかりである。同法附則は、施行後8年を経過した時点で無期転換ルールの効果や影響を検証するものとしている。無期転換ルールの立法時には、無期転換までの期間は5年でも長すぎるので、せめて諸外国並みに2,3年とすべきであるとの意見が強かった。ところが、法案は、施行から1年も経過しない現時点で、逆にそれを延長し、無期転換ルールを実質上骨抜きにしようとするものである。しかも労働法制の改廃については予め三者構成の労働政策審議会に諮るとする慣行を無視し、議員提案でわずか1週間程度の審議期間で、成立させようとすることは、あまりにも横暴かつ拙速であり、立法の正統性すら毀損するものであって、到底容認することはできない。

 民主法律協会は、法案に断固反対するとともに、直ちに法案を白紙撤回することを求める。

2013年11月29日 
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令