決議

労働者の雇用安定と均等待遇実現のための有期労働契約規制を求める決議

2011年08月27日

  1.  有期労働契約規制の問題については、労働政策審議会において検討が進められており、本年末には建議を出す予定となっている。また、今後のパート労働に関する研究会が今年の夏に、また、多様な形態による正社員に関する研究会が本年末にそれぞれ報告書の提出を予定し、さらに、非正規雇用のビジョンに関する懇談会が2011年6月から始まるなど、様々な審議会・研究会で議論が行われている。
  2.  有期労働契約は、恒常的な業務に従事させる場合にも利用され、使用者がその労働者を必要としなくなった際に、労働契約関係を容易に終了させる手段として用いられている。これは、解雇規制を免れるために有期労働契約を脱法的に利用するものである。
     また、有期契約労働者は、雇止めの威嚇のもと、正社員よりはるかに劣悪な労働条件で働くことを余儀なくされている。有給休暇の取得など労働者としての当然の権利さえ行使できず、過重労働を強いられ、また、契約更新時に一方的に労働条件が切り下げられても文句が言えないという事態が広がっている。
     さらに、派遣労働者が、違法な就労状態の是正を求める運動を行い、派遣先との直接雇用を獲得しても、派遣先は、有期契約しか結ばず、短期間で企業外に放逐するということを平然と行っている。
     それにもかかわらず、労働政策審議会において、使用者側の委員は、雇用維持・創出等に貢献している、働く側のニーズ・価値観が多様化する中で多様な雇用の場を確保する機能を有している、実態として雇止めはほとんどなく結果的には雇用は安定しているなどと述べて有期労働契約を正当化し、労働者が権利主張できない現状を個別の企業運営の問題に矮小化しようとしている。
  3.  EU諸国をはじめとする多くの先進諸国は、客観的に合理的な理由のない有期労働契約の締結自体を禁止し、あるいは有期労働契約の継続期間の上限や更新回数の上限を設定し、それを超えた契約を無期契約とみなす制度をとるとともに、無期契約労働者との均等待遇のための法規制を行っている。
     ところが我が国には、契約期間の上限規制があるのみで、契約締結事由を制限する規定は存在しない。また、均等待遇については、ILO第100号条約を批准しているにもかかわらず、ほとんど改善がみられず、ILOの総会基準適用委員会から、過去3度にわたって、法及び慣行の両面で男女同一価値労働同一報酬を積極的に推進していくよう求められている。
  4.  雇用の継続と安定性は、労働者の生存権(憲法25条)保障の要であるとともに、幸福追求権(憲法13条)の要素をなすものである。また、正規労働者と非正規労働者との待遇差は一種の「社会的身分」による差別(憲法14条)と評価可能なほど固定化するに至っている。
     無期労働契約を原則とする明文規定を創設し、有期労働契約は必要やむを得ない場合にのみ認めるという規制、均等待遇を実現する規制を行うべきである。また、具体的な規制内容については、女性労働者の多くが有期契約労働者であるという実態も踏まえ、男女賃金格差の解消及び男女共同参画社会の理念を実現する視点での検討もなされるべきである。
  5.  民主法律協会は、無期雇用原則の明文化、有期労働契約を締結できる事由についての規制(入口規制)、均等待遇原則の確立を柱とする有期労働契約規制について、労働組合その他広範な団体・個人と連帯し取り組みを強める決意を表明する。

  2011年8月27日
                                              民主法律協会第56回定期総会