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決議

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法の廃案を求める決議

 2014年6月22日、第186回国会が閉会し、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(以下、「有期特例法」という。)が参議院で継続審議となった。

 同法は、労働契約法18条の例外を定めるものである。
 有期雇用契約の反復継続により5年を超えた労働者は、労働契約法18条により、期限の定めのない雇用契約への転換を図ることができる。ところが、有期特例法は、①5年を超え10年を超えない範囲で一定の期間内に完了することが予定されている業務に従事する高度専門的知識を有する労働者(以下、「第一種労働者」という。)について同業務に従事する期間、②定年後引き続いて雇用される者(以下、「第二種労働者」という。)について、定年後引き続き雇用されている期間の無期転換申込権を否定する。

 しかし、本来、合理的な理由もなく短期の雇用契約が繰り返される事態は、労働者の雇用を長期間、不安定な状況におく。労働契約法18条所定の5年の通算契約期間すら一時的・臨時的とはいえないのに、有期特例法は、さらに一定の労働者につき、その期間を10年に延長し、あるいは、無期転換申込権を否定するものであり、多くの労働者が不安定な雇用を強いられることになる。また、10年の経過を前にした雇止めが誘発される危険も看過できない。

 そもそも、一定期間内に完了することが予定されている業務に従事する労働者を雇用する場合、労働基準法14条1項に基づき、当該期間を雇用期間として定めることができる。したがって、そのような業務についてその期間より短い有期契約を結び、その雇用契約が繰り返されること自体不合理である。

 また、有期特例法は、第一種労働者の範囲を画することになる専門的知識等の定義や年収の範囲の決定を厚生労働大臣に委ねている。年収については、下限や年収の基準額を決める際の考慮要素の規定すらない。厚生労働大臣の判断で、際限なく対象者を拡大することが可能であり、国会の立法権を放棄するに等しい。
さらに、第二種労働者についても、高齢化社会の到来により60歳以上の労働者人口が増えると見込まれる状況下で、定年後引き続き雇用される有期雇用労働者とそうでない有期雇用労働者とを区別する合理的な理由は見出しがたい。

 民主法律協会は、以上のような問題点を有する不合理な有期特例法に断固として反対し、廃案とすることを引き続き強く求めるものである。

2014年8月30日
民主法律協会 第59回定期総会

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