決議・声明・意見書

決議

泉南アスベスト国賠訴訟の大阪高裁判決に対する国の上告に抗議し早期解決を求める決議

 大阪高等裁判所第13民事部(山下郁夫裁判長)は2013年12月25日、大阪・泉南アスベスト国家賠償請求第2陣訴訟において、国の規制権限不行使の責任を認める判決を下した。
 大阪泉南地域は戦前から石綿紡織業が発達し、小規模零細の石綿工場が集中立地し、早くから深刻な被害が発生していた。国は、70年も前に、自ら泉南地域を中心とした石綿紡織工場の労働実態調査(内務省保険院調査)を行い、戦後も昭和20年代後半から繰り返し被害実態調査を行って、石綿肺や肺がんなどの重篤な呼吸器疾患が深刻に発生していることを詳細に把握していた。したがって、国には、早くから石綿被害の発生を防止する規制や対策が強く求められていた。にもかかわらず、国は、戦前は軍需、戦後は高度経済成長を最優先させて石綿産業を育成、利用する一方で、泉南地域の小規模事業主や労働者、その家族、近隣住民に対して石綿の危険性を積極的に知らせることも行わず、局所排気装置の設置の義務付けなどの必要な規制や対策も怠った。その結果、泉南地域において、長期にかつ大量に、石綿肺や肺がんなどの石綿被害を発生、拡大させた。
 第2陣高裁判決は、2010年5月の第1陣大阪地裁判決、2012年3月の第2陣大阪地裁判決に続き、三度、かつ高裁レベルにおいて初めて、泉南石綿被害に対する国の責任を認めた。それだけでなく、第2陣地裁判決から、局所排気装置を義務付けなかった点について1958年から違法であったとしてその時期を拡大し、さらに今回初めて、国が1974年以降濃度規制を行わなかった違法、および、1972年以降防じんマスクの使用およびその教育を義務付けなかった違法を認め、国の責任も3分の1から2分の1に拡大した。
 今回の大阪高裁判決は、国の責任逃れの主張を完膚なきまでに退けた。これは石綿製品の社会的有用性と人の生命健康を天秤にかけて国の責任を否定した2011年8月の第1陣高裁判決を完全に乗り越えるものであった。
 国は、司法により三度断罪された事実を謙虚に受けとめ、また2006年5月の第1陣訴訟提起以来13名もの原告が死亡し、病状の悪化に苦しむ生存原告らの「命あるうちの解決」という切実な願いを真摯に受けとめ、ただちに上告を断念し、早期に被害者救済に踏み出すべきであった。だが国は、原告らの願いに背き、2014年1月7日、2つの高裁判決の開きが大きく最高裁の判断を求めたいという理由で上告した。
国の上告は、国民のいのちと健康を守る責務を放棄し、いたずらに被害者の苦しみを引き延ばすものでしかない。このような国の姿勢は、いのちや健康よりも産業発展が優先するという第1陣高裁判決にすがるものであり、そこには何らの大義も道理もない。
 国の不当な上告に断固抗議し、泉南アスベスト国賠訴訟の最高裁闘争を総力で支援するとともに、引き続き、国に対し、泉南石綿被害の早期の全面解決を強く求める。

2014年2月8日
民主法律協会2014年権利討論集会参加者一同

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