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労働委員会規則の一部を改正する規則(案)に関する意見

中央労働委員会 御中

労働委員会規則の一部を改正する規則(案)に関する意見

2021年3月25日
民 主 法 律 協 会

1 意見の趣旨

(1)不当労働行為救済申立について、被申立人が答弁書を提出しなければならない期限を、申立書の写しが送付された日から原則10日以内としていたものを原則30日以内と改正することには反対である。

(2)仮に(1)の改正をするとしても、答弁書について申立書の事実の認否と主張に対する反論を具体的にしなければならないという点は、例外を許さない厳格な規定とすべきである。
また、第1回調査期日については、少なくとも申立人側と日程調整をして日時を指定する運用をすべきである。

2 意見の理由

(1)不当労働行為救済申立手続きは、使用者による不当労働行為によって侵害された労働者・労働組合の団結権を回復する目的があるところ、早期に救済がなされなければ回復不能となってしまう。そのためできる限り速やかに第1回調査期日を開催し、審理手続きを進める必要がある。
実効確保の措置勧告を要する特に緊急性の高い事案についても、審理の進行は基本的に第1回調査期日開催以降であり、団結権侵害の救済をはかるには、第1回調査期日を遅滞なく開催する必要性が高い。また、通常の事案についても、第1回調査期日において、労働委員会から、救済申立を理由とする不利益取扱禁止の教示等が行われ、使用者の不当労働行為を止めさせ、あるいは抑止する実質的な役割を果たしている。このような第1回調査期日の機能に鑑みれば、答弁書の提出期限を遅らせることには原則としては反対である。

(2)ただ、現実的な側面から30日以内とする規則改正を行うとしても、「追って認否、主張する」という形式的な答弁書が出されてしまうと結局審理が遅延するだけであるので、必ず事実の認否や主張の反論など実質的な答弁をすることを厳格に義務付けるべきである。

(3)また答弁書提出期限の後に第1回調査期日が指定されることと思われるが、これまでは答弁書で形式答弁がされることが多いことから、第1回調査期日において充実した審理ができない場合が多いことを前提に、申立人側の日程を調整しない取扱いがされてきた(少なくとも大阪府労働委員会の運用はそうであった)。しかし、第1回調査前に形式答弁は許されず実質答弁が義務づけられるのであれば、第1回調査において充実した審理が実施されることが期待されるため、少なくとも申立人側の出頭確保の必要性が高い。また申立後1か月余り先に第1回調査期日が指定されることとなるため、日程調整も容易である。民事訴訟の場合でもそのような運用とされている。
よって、少なくとも申立人側と日程調整をした上で第1回調査期日を指定すべきである。

以 上

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