民主法律時報

「教育基本条例案」「職員基本条例案」を許さない9.6府民集会報告―さらなる公教育破壊と強権政治を許さないために2条例は撤回しかありません

 大阪教職員組合副委員長 末 光  章 浩

 9月6日(火)エルおおさか大ホールで、標記府民集会が教育文化府民会議、民法協、大教組など8団体の主催で開催されました。当日は、チラシや新聞、インターネットで知った府民がかけつけ、用意した資料1000部がなくなり、ロビーにまで溢れるほどの人で埋め尽くされました。集会は2条例撤回を求める熱気と橋下「大阪維新の会」の横暴への怒りに満ちた素晴らしい内容で、当日マスコミ二社のテレビカメラも入り関心の高さをあらわしていました。

 集会は大阪教職員組合女性部の寸劇「うちら大阪の先生やで」ではじまり、主催者を代表して子どもと教育・文化を守る府民会議代表の藤木邦顕弁護士が「子どもたちを競争に駆りたて、懲戒処分で教師や職員を黙らせ、命令や知事が設定する教育目標に従わねば教育委員も罷免する。こんな条例が日本に制定されていいのでしょうか。条例阻止へ力をあわせましょう」とあいさつしました。

 各界からの激励のあいさつでは元小学校PTA会長の渡鍋一也さんが「私たちが求めているのは、点数や競争で子どもたちを追いたてる先生ではなく、一人ひとりを大切にし、子どもたちの声に耳を傾けてくれる先生です。教育基本条例はきっぱりやめていただきたい」と思いを語りました。大阪弁護士会憲法問題特別委員会委員長の武村二三夫さんは「同じ職務命令3回違反、職務命令違反5回で分限免職というのは本当かと、弁護士会のなかで驚きの声があがっています。中立性、自主性の観点から、行政、議会とは独立して一定の権限が行使できる教育委員会制度があります。橋下知事はそれを壊しにかかり、ものが言えない職場をつくりだそうとしています。ファッショじゃないか、ものが言えない社会に大阪をかえようとしているのではないかと思います。大阪の地で、われわれが知事の暴走を止めなきゃなりません。この集会も一歩、一緒にがんばりましょう。」と述べました。全日本教職員組合中央執行副委員長の篠崎四郎さんは「橋下知事による地方からの教育支配を突破口に地方自治のしくみを根本から変えることをねらった策動を阻止しよう」と訴えました。

 続いて東京大学名誉教授で元日本教育学会会長の堀尾輝久さんが「教育に強制はなじまない」と題して講演、「橋下知事は『君が代』起立強制条例を成立させ、今度は2条例案をつくりました。この流れはこれまでの日本の保守的な流れとは違った特徴があり、議会政治の否定や教員・府職員への自由抑圧を通じた新しいファシズムへの動きではないかと心配です。『2条例は条例に反するいっさいの条例、規則、要項などは無効』として、『最高規範性』を持つといいます。よくもこういう表現を使いますね。最高規範というと私たちが考えるのは憲法で、知事自身が憲法を変えたいと思っているのでしょう。条例案は憲法違反だといわなければなりません」とのべました。

 今回の集会も6月1日の「日の丸・君が代」強制条例に反対する府民集会と同様、各方面からのリレートークの時間が設けられました。
 福井依智子さんは、父母の立場から、「『日の丸・君が代』を強制しないでと学校に申し入れたり、このような集会で発言している私は、教育基本条例案によると『社会通念上、不当な要求』をしている保護者と見なされるのでしょうか?」と条例案の問題点を鋭く指摘、府立高校教諭の首藤広道さんは「私の勤務する困難校の生徒たちも『生きづらさ』を感じ、時には挫折しながらも懸命に自分たちの生き方を模索している。そのような生徒を前に3年連続定員割れした学校は統廃合とは許せない。競争と自己責任を押しつけ、徹底した教職員の統制と管理、公教育の民営化など新自由主義の最先端の条例案に強く反対します」と意志表明しました。
 大学生の織原花子さんは「一人ひとりを大切にする本来あるべき教育を汚されたくはありません」、大阪府公立学校管理職員協議会元会長の佐藤純一さんは「子どもたちに苦しい思いをさせる条例には憤りを感じます。」とともに怒りをあらわにしました。
 リレートークの最後は2条例案撤回の先頭に立って頑張る大阪府職員関係労働組合書記長の小山光冶さんと大阪教職員組合書記長の小林優さんが発言。小山さんの「府民との共同をすすめ、橋下独裁政治から府政を府民にとりもどすため全力をあげます」、小林さんの「公教育をさらに破壊し、強権政治おしすすめる『大阪維新の会』暴走政治を絶対に許してはなりません」の発言に会場から割れんばかりの拍手がありました。

 2条例案撤回にむけた府下の運動は大きく広がり始めています。9月9日は、主要駅頭で8団体や憲法会議・共同センターを中心に撤回を求める宣伝が行われ、昼休みに府庁本館前で8団体が行った宣伝には80名が参加しました。20日の府議会開会日には早朝から宣伝行動、昼休みには教育塔前での反対集会と府庁包囲デモ行進を実施しました。
 9月16日の大阪府教育委員会会議では2条例案に対し、橋下知事が任命した教育委員もふくめ、全員の教育委員から強い反対の意見があがっています。「やってはいけないということをやっている。横暴としかいいようがない。一国民として言うと、政治家として資質が問われている。政治が教育をふりまわすという一番問題なことをしている」、強い要請で就任した「百ます計算」で知られる陰山英男委員は、こう発言しています。橋下「大阪維新の会」への批判が確実に広がりはじめています。教育を私物化し、批判する勢力をすべて排除しながら、意のままに教育や府政をすすめる橋下「大阪維新の会」へ抗議を集中し、府民の力で2条例案を撤回に追い込みましょう。
 激励先は以下の8団体まで。
子どもと教育・文化を守る大阪府民会議/憲法改悪阻止大阪府各界連絡会議/自由法曹団大阪支部/民主法律協会/国民救援会大阪府本部/全大阪労働組合総連合/大阪自治体労働組合総連合/大阪教職員組合

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP