決議

新型コロナ禍においてすべての働く者の権利擁護・生活保障のため連帯を呼びかける決議

2021年02月13日

1 新型コロナ禍における働く者の状況と企業・政府が果たすべき責任

現在、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、世界の感染者数は1億人を超え、死者数も230万人を超えている(2021年2月9日時点)。感染拡大から1年以上が経過した現在も収束が見通せない中、新型コロナ禍を理由とする一方的な休業命令による賃金不払いや解雇・雇止め・派遣切りなどが続いている。厚生労働省の発表によれば、新型コロナの影響による「解雇」や「雇い止め」が見込みを含めて累計8万6000人を超えている(同年2月9日時点)。また、フリーランスとして働く者に対しても、契約の解除・キャンセルがなされるなどの事態が相次いでいる。このような失職や収入の減少などにより生活に困窮する者も多く、生活保護の申請や生活困窮者自立相談窓口への相談、経済的な事情による大学生の休退学などが相次いでいる。

このような状況において、働く者の権利擁護・生活保障のため、企業は使用者としての責任を果たし、政府は所得保障などの十分な補償や社会保障給付の拡充を行うべきである。

2 医療・介護・福祉・公衆衛生の現場での長時間労働の問題と政府が果たすべき責任

保健所職員や感染症指定医療機関の職員など感染症対策の現場で働く労働者や生活困窮者自立支援相談員など困窮する市民の相談業務に従事する労働者をはじめ医療・介護・福祉・公衆衛生の現場の長時間労働も問題となっている。このような労働者の頑張りによって医療崩壊・介護崩壊などがぎりぎり食い止められている状況にある。

政府は、ただちにこのような現場での人員体制の拡充などの措置をとるべきである。

3 現在の状況を招いた企業・政府の姿勢

そもそも、上記のような状況を招いている背景に、利潤追求・コスト削減・雇用責任回避のために、正社員を非正規雇用あるいは業務委託で代替してきた企業の姿勢や、規制緩和を進めて労働者の権利擁護をおろそかにし、さらには自助・共助を強調して社会保障を改悪し、医療・介護・福祉・公衆衛生の分野での行政責任を後退させてきた政府の姿勢がある。特に、感染症病床をこの20年間で半分近くに削減し,保健所を1993年の848箇所から576箇所に減らすなど、「効率化」の名の下に公衆衛生行政を後退させてきた政府の責任は重大である。

4 今こそ政府に政策を転換させる必要があること

ともすれば、この機に乗じて、規制緩和の方にさらに舵を切り、非労働者化政策による雇用責任の回避や、解雇の金銭解決の導入、最低賃金の抑制、均衡均等待遇の骨抜き化などが進められるおそれがある。またテレワークや在宅勤務などの新しい働き方が現れたことを口実に、労働時間規制の緩和や裁量労働制の拡大が狙われることも懸念される。

現状に対する補償を求めるだけでなく、政府に今までの政策を転換させ、真の労働者・就業者保護のための政策を行い、また全ての国民に生存権が保障されるように社会保障政策を充実させ、さらには医療・介護・福祉・公衆衛生政策の見直しを求めていく必要がある。

5 全ての働く者の権利擁護・国民の生存権保障のために当会が果たすべき使命

現在、このような権利擁護のための新たな運動が広がりつつある。感染拡大防止のために人が物理的に集まることが困難な中で、オンライン集会やネット署名、TwitterデモなどWebやSNSを利用した新たな運動の形が定着し、またフリーランスによる労働組合の結成や、幅広い団体の共同アクションが進んでいる。

今こそ、全ての働く者の権利擁護、そして国民の生存権保障のため、あらゆる形であらゆる団体と連帯した市民運動を構築する必要がある。労働者、労働組合、弁護士、研究者、市民団体が集う当会は、この運動の最前線に立って、奮闘する決意をここに宣言する。

2021年2月13日
民主法律協会2021年権利討論集会