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決議

解雇の金銭解決制度導入を許さない決議

 安部政権は、本年6月24日に閣議決定した「日本再興戦略改訂2014」において、「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」を提言し、主要先進国において例があることを指摘しつつ、「透明かつ公正・客観的でグローバルにも通用する労働紛争解決システム」として、解雇の金銭解決制度導入に積極的な姿勢を示した。

 しかし、現行法下でも、労働者が違法な解雇を不法行為として使用者に対して損害賠償を求めることは可能であるし、地位確認の訴訟や労働審判においても労働者が希望すれば解決金等の支払いによる和解や調停が可能であり、労働者が選択する金銭解決制度は既に存在する。つまり、安倍政権が検討しようとしている金銭解決制度は、違法な解雇を行った使用者を救済するためのものでしかない。

 客観的かつ合理的な理由のない違法な解雇であっても、金銭さえ支払えば労働者を企業外に放逐できる金銭解決制度が導入されれば、長年の労働者の権利闘争によって形成されてきた解雇権濫用法理は事実上無に帰すことになり、安易な解雇の誘発する恐れが極めて強い。

 労働は、労働者にとって生活の糧を得る場だけでなく、自己実現の場でもあり、労働契約関係の維持及び存続はそれ自体に価値がある。解雇の脅威は労働者の使用者への人格的従属を強め、その結果、労働者の人間としての尊厳を侵害する。

 民主法律協会は、解雇の金銭解決制度の導入を決して許さない。

2014年8月30日
民主法律協会 第59回定期総会

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