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共謀罪の強行成立に抗議する声明

本年6月15日、自民、公明、維新らは、共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案について、国会の審議を軽視し、参議院法務委員会の採決を「中間報告」により省略するという、驚くべき反民主主義的手法を用いて、参議院本会議で同法案を強行可決した。

共謀罪について、国内では、当協会だけでなく、広範な法律家や市民らにより、「テロ防止」「一般市民は対象ではない」などとの政府答弁の欺瞞や、捜査・取締・処罰対象が無限定であり、労働組合・市民団体・NGO・政党などの活動が萎縮させられ、圧殺される危険があること等を再々指摘してきた。

さらに国際的にも、国連人権理事会の特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏から、表現の自由やプライバシー等人権侵害の懸念を表明する書簡が発出されていた。

しかし、自公与党と維新らは、衆議院における審議は30時間ほど、参議院においては18時間ほどのみで、さらに参議院では法務委員会の審議を省略する「中間報告」(国会法56条の3)を使ってまでして、審議を強行的に終了させ、共謀罪法案を採決したのである。

日本の議会制民主主義において、法案は、議院の法務委員会で熟議を経て採決され、その後に本会議で採決されるべきものであり、このたび自公維らが行った、とりわけ参議院における強行採決は、それを強権的に否定した暴挙である。この暴挙は、いやしくも全国民の代表者であり、様々な意見をふまえ熟議のうえ法律を制定すべき国会議員としての職責(憲法前文、15条、41条、99条等)を根底から否定するものであり、厳しく非難されねばならない。

さらに、自公維らの参議院における「中間報告」による強行採決は、会期延長することなく国会を閉じることで、内閣府から文部科学省への越権的な文書が明らかになり始めた状況の下で安倍政権に対する「森友学園・加計学園疑惑」の責任追及を封じることを目的としたものである。安倍政権による政治の私物化に国会が奉仕するものであり、国会の自殺行為というほかない。

当協会は、安倍政権が、憲法と民主主義を否定して、特定秘密保護法(2013年)、安保関連法(2015年)などの成立を強行してきた末に共謀罪の成立も強行したことで、戦争する国づくりのための法制度を積み重ねてきたことを許さない。
平和・民主主義・国民の権利を守り発展させることを目的とする当協会は、共謀罪の強行成立に怒りをもって強く抗議する。それとともに、共謀罪による恣意的で不公正な捜査・取締・処罰を許さず、萎縮することなく労働運動・市民運動・社会運動を発展させ、共謀罪廃止のために奮闘するものである。

2017年6月16日
民 主 法 律 協 会
会長 萬井 隆令

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