声明

労働時間法制の改悪に反対する声明

2015年04月22日

 政府は、現行の労働時間規制を大きく緩和する「労働基準法の一部を改正する法律案」(以下、「本法案」という。)を閣議決定し、第189回国会に提出した。

 本法案は、企画業務型裁量労働制の対象業務について、「事業の運営に関する事項について繰り返し、企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用し、当該事項の実施を管理するとともにその実施状況の評価を行う業務」や、「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用した商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結の勧誘又は締結を行う業務」を追加するとしている。裁量労働制は、遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、その労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし時間によって行うことを認める制度である。しかし、裁量労働制においても、肝心な仕事の内容や量、達成期限は使用者によって決定されるため、現在でも、過大な労働を命じておきながら残業代を支払わないための方便として悪用される問題が指摘されている。適用対象を一般的な労働者が日常的に行っている営業業務にも広げることは、問題をさらに拡大させることになる。しかも、裁量労働制には年収要件が定められておらず、残業代不払いのために悪用される可能性がきわめて高い。

 高度プロフェッショナル制度は、一定の業務に従事する労働者について労働時間規制適用を一切排除するものである。本法案では、希望しない労働者には制度が適用されないようにするとしているが、現実には労働者が制度の適用を拒否できるとは到底考え難い。また、本法案では、長時間労働による健康被害の対策のため、医師による面接指導の実施を義務づけるとしているが、1月あたり100時間という過労死・過労自殺のラインを超える時間外労働に従事した者が対象であり、実質的な健康被害の歯止めになるとはいえない。年収要件についても、昨年8月14日の日本経済新聞は政府が「大企業の課長級の平均である年収800万円超の社員で、勤務時間を自分の判断で決められる中堅以上の社員を想定している」と報道しており、今後なし崩し的に緩和されていくことが容易に予想される。

 労働時間規制を大幅に緩和する本法案は、更なる長時間労働を助長し、労働者の生命や健康を脅かすものであるとともに、労働者から生活や家族のための自由な時間を奪うものである。民主法律協会は、あらためて、本法案に強く反対する。

2015年4月22日
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令