「生活と健康を守る会」への違法な捜索差押に強く抗議し、強制捜査権を濫用した政治的弾圧を直ちに中止することを求める声明

2013年10月23日

 2013年10月10日、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)・全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)・淀川生活と健康を守る会(淀川生健会)の各事務所が大阪府警による捜索を受け、大生連の定期大会資料や全生連発行の機関紙等が押収された。大阪府警は、本年9月12日にも大生連・淀川生健会の事務所を捜索している。

 日本国憲法35条は、何人にも、その住居、書類、及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を保障しており、正当な理由に基づいて発せられた令状なしに捜索差押することはできないことを定めている。そして、被疑事実との関連性を有しない物の差押えは違法である。

 一連の捜索差押の被疑事実は、淀川生健会の一会員あるいは一会員であった者による生活保護法違反とされている。しかし、全生連・大生連・淀川生健会と当該被疑事実との関連性は、捜索差押にあたって全く明らかにされなかった。

 大阪地方裁判所裁判官が発した捜索差押令状には、差押対象物として、「全国生活と健康を守る会連合会,全大阪生活と健康を守る会連合会及び淀川生活と健康を守る会に関する活動方針,規約,規則,会員名簿,住所録,機関紙誌,名刺,会員証,写真その他組織実態,会費運用状況及び生活保護に関する取り組みなど明らかにする文書類及び物件」等が記載されていた。このような無限定の記載は、差押対象物を明示することを求めた憲法35条1項や刑事訴訟法の諸規定に違反するものである。

 「生活と健康を守る会」は、生存権保障の確立をめざし、生活と健康・権利を守る運動をすすめ、福祉と教育の充実、社会保障の確立、平和と民主主義に寄与することを目的として60年にわたって運動を続けてきた市民団体である。その規約や活動方針等はホームページ上でも公開され、法律違反や「不正受給」は絶対に許さない立場を明らかにしている。一会員による生活保護法違反と、全生連・大生連・淀川生健会の活動とはまったく無関係であり、一連の捜索差押は、およそ被疑事実と関連性のない捜索差押であって明らかに違法である。

 ちなみに、9月12日の捜索差押でも差し押さえられた大生連の定期大会資料は、準抗告申立の翌日、ただちに「不要になった」という理由で返却された。にもかかわらず、10月10日の捜索差押で同じ資料が再び差し押さえられた。10月11日に準抗告を申し立てたところ、休日を挟みただちに警察官が返却にきた。このことからも、一連の捜索差押は被疑事実の捜査にとって何ら必要性がなかったことが明らかである。

 全生連・大生連は、本年8月からの生活保護基準引き下げに対して、「引き下げストップ」「1万人審査請求」を会員内外に呼び掛けている。全国一斉審査請求(本年9月17日)の直前に強行された9月12日の捜索差押では、大生連が作成していた一斉審査請求の集約表が押収された。また、10月10日の捜索差押では、9月12日の捜索差押に対する「抗議書」が差し押えられた。これらの事情からは、一連の捜索差押が、生活保護基準引き下げをはじめとする社会保障制度全般の改悪に反対する全生連・大生連の運動を弾圧する目的でなされたといわざるを得ない。

 民主法律協会は、違法な捜索差押に強く抗議するとともに、強制捜査権を濫用した市民運動に対する政治的弾圧をただちに中止することを求める。

 2013年10月23日
 民 主 法 律 協 会
 会 長 萬井  隆令