決議

真の有期労働契約規制を求める決議

2012年02月19日

 2011年12月26日、労働政策審議会は、有期労働契約の在り方について厚生労働大臣に建議し、有期労働契約規制の方向性を示した。
 使用者は現在、恒常的に仕事があるにもかかわらず、雇用調整の際の便宜と人件費節減目的のために有期契約を野放図に利用している。その結果、有期契約労働者は雇用の不安定さ、待遇の低さ等の点で劣悪な状況に置かれている。
 しかし、今回の建議は、①有期契約締結には合理的理由が必要であるといういわゆる入口規制を否定し、締結時に理由の明示を求めないこととした、②有期契約の反復・継続の上限を5年という長期間にした、③6か月のクーリング期間を経れば、期間経過後に有期契約を再び締結することを認めた、④均等待遇に関して、「職務の内容や配置の変更等を考慮」して不合理かどうかを判断するとした、⑤正規労働者への転換について何ら触れていない、⑥反復・継続を経て無期労働契約に転化しても、労働条件は非正規労働時と同一であるなど、雇用の安定と正規労働者との均等待遇実現という有期契約労働者の願いに背を向け、現状を改善するには程遠く、むしろそれを固定しかねないものである。
 そもそも、労働者は安定した雇用の下で働けなくては、自らの権利を主張することさえままならない。労働者が人間らしい働き方をするためには、労働契約は期間の定めのないものを原則とし、有期労働契約は合理的理由がある場合に例外的に認められるものとされなければならない。入口規制を導入すると紛争が生じるという批判は、恒常的な業務には正規労働者を従事させるという常用雇用の原則を無視し、企業が有期契約を利用し続けようとする意図を隠蔽するためのものでしかない。
 有期労働契約の反復・継続の上限は可及的に短いものでなければならない。また、期間制限を骨抜きにしないため、期間を超過した場合は、労働者の申出により無期雇用に自動的に転換する仕組みが不可欠である。
 クーリング期間は、期間経過後に有期契約の再締結を認め、使用者の脱法行為を誘発するものであるから、撤廃すべきである。
 使用者側が有期契約を利用する理由の1つはそのコストの低さにあり、有期契約規制の実効化には均等待遇の実現が欠かせない。日本は、同一職務に従事していれば、同一の処遇とすべきであるとの原則を規定したILO100号条約を批准している。今こそ、この原則を具体化する法律を整備すべきである。
 私たちは、使用者側の論理におもねり労働者保護の視点を欠いた今回の建議を強く批判するとともに、真に労働者保護につながるような有期労働契約規制を求め、その実現に向けて今後も運動を続けることを宣言する。

2012年2月19日
民主法律協会2012年権利討論集会参加者一同