決議・声明・意見書

決議

非正規労働者の雇止めを許さず雇用の安定・待遇の改善を求める決議

1 労働契約法18条の無期転換ルールが2013年4月1日に施行されて以降、無期転換逃れの雇止めが横行している。無期転換ルールの施行から10年を迎える2023年3月末には、科学技術・イノベーション創出活性化法(リノベ法)及び大学の教員等の任期に関する法律(任期法)による10年特例の対象となりうる研究者及び大学教員が無期転換逃れのために雇止めとされるおそれがある。

公務の分野においても、2020年4月から会計年度任用職員制度が施行され、多くの非正規公務員が会計年度任用職員に移行した。同制度において、総務省の指導に基づき公募なしでの再任用について上限を設ける自治体が多く、上限を2回とする自治体においては、制度施行から3年を迎える2023年3月末の更新時に、継続的に任用されてきた職員も公募に申し込み、選考を経なければならない 。そのため、多くの会計年度任用職員が公募の名の下に雇止めされるおそれがある。

2 無期転換逃れの雇止めは、長年雇用されてきた有期労働者の雇用の安定を図る労働契約法18条の趣旨に反する脱法的な雇止めに他ならず、これを許してはならない。

また、10年特例の対象となりうる研究者や大学教員の無期転換逃れの雇止めは、真摯に教育研究に取り組む労働者からその機会を奪うことに他ならず、日本の教育研究の質の低下にもつながるものであり、ひいては市民生活にも不利益をもたらすものである。

3 会計年度任用職員制度は、長年継続して任用されてきた非正規公務員の雇止めに利用されており、さらなる雇用の不安定につながるような事態はあってはならない。

また、公務労働者は住民にとって必要かつ重要な行政サービスの担い手であるため 、会計年度任用職員をはじめとする非正規公務員の雇止めは、公共サービスの専門性や継続性が失われ、住民の不利益にもつながる。

4 そもそも、 無期雇用が原則であり、有期雇用が例外であることからすれば、 このような雇止めが許されないのみならず、恒常的な職務を担う労働者は無期雇用とすべきである 。

また、均等待遇の本来の考え方に立ち返って、非正規労働者の待遇を改善し正規労働者との格差が是正されなければならない。

5 民主法律協会は、有期労働者の生活の基盤を奪う雇止めを許さず、無期雇用の原則に立ち戻って労働者の雇用の安定を図るとともに、待遇の改善・格差是正を実現するために、すべての市民・労働者と団結して奮闘する。

2023年2月18日
民主法律協会2023年権利討論集会

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