決議・声明・意見書

決議

労働組合の街宣活動を禁止する仮処分決定に抗議し、街宣活動の自由の保障を求める決議

  1.  大阪地裁第1民事部(横田典子裁判官)は、2011年5月10日、北港観光バスが申し立てた街宣活動禁止等仮処分事件において、何の理由を示すこともなく、会社周辺500メートルの範囲において、組合の街宣活動を禁止するという仮処分決定を行った。
  2.  北港観光バスでは、組合員に対して、雇い止め、賃金差別、自然退職扱い、出勤停止処分、配転などの不当労働行為、嫌がらせを行っており、これらの事件は大阪地裁で係属中であった。こうした中、組合は、使用者からの不当な攻撃に抗議し、組合員らの団結を強化し、切実な要求を実現するため、会社周辺での街宣活動に取り組んできた。その街宣活動は、4日間、会社周辺を街宣車で回り、各日約15分という短時間、会社の態度に抗議するテープを流しただけであり、何ら問題とされるものではなかった。今回の決定は、これまでの裁判例からは考えられないものであり、まさに前代未聞の決定である。 
  3.  そもそも、労働組合による街宣活動は、会社から組合員への嫌がらせ等に対する抗議にとどまらず、広く一般公衆に労働組合及び組合員が抱えている問題やその立場を知らせることで、組合活動に対する社会的な支持、支援を集め、使用者に対抗するための活動であり、労働者・労働組合にとって不可欠のものである。そのため、労働組合の表現活動は、表現の自由の行使であるとともに、団結権、団体行動権の行使として憲法上保障されているのである。
     裁判所による街宣活動の不当な抑制は、労働組合運動の根幹に関わる重大な問題であり、決して看過することができない。
     また、近時、労働組合の街宣活動に対して、警察等が干渉、介入する事例も増えている。これらは、まさに国家権力による労働運動、民主運動に対する弾圧であり、到底容認することはできない。
  4.  民主法律協会は、大阪地裁第1民事部の仮処分決定に対し強く抗議し、異議審においてこの決定の取消しを求めるとともに、今後とも労働組合の街宣活動への不当な抑制に対し断固たたかう決意を表明する。

     2011年8月27日
    民主法律協会第56回定期総会

     

     

     

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