声明

大阪府における「職員の政治的行為の制限に関する条例案」・「労使関係に関する条例案」の制定に反対する会長声明

2012年10月12日

 大阪維新の会・大阪府議会議員団は、開会中の大阪府議会に、大阪市で成立した「職員の政治的行為の制限に関する条例」・「労使関係に関する条例」と同種の条例案を提出すると報道されている。

 しかしながら、いずれも、職員の政治活動の自由や労働基本権を侵害する違憲・違法の条例であるとして厳しく批判されてきたものであり、これとほぼ同内容の条例案を提出することは、大阪維新の会の反憲法的な姿勢を示すものとして、弾劾されるべきである。

 しかも、松井一郎府知事が、大阪府における制定の必要性がないと答弁したにもかかわらず、議員が労使関係や職員の規律にかかわる条例の提案を図ることは、首長と議会の権限分配をわきまえないものとの非難を免れない。

 「職員の政治的行為の制限に関する条例案」は、職員が規制される「政治的行為」の範囲を国家公務員並みに拡大するというものである。国家公務員法のような包括的・網羅的な政治活動の規制に対しては、国連自由権規約委員会が、不合理な制限であるとして撤廃を日本政府に勧告したことにも示されているとおり、もはや国際的に見て時代遅れというべきである。また、公務員は全体の奉仕者(憲法15条2項)であって、特定の首長のための存在ではないのであるから、地方公共団体の職員が行政のあり方等の政治的課題について意見を表明し、住民と意見を交換することは、住民の福祉を増進させ、よりよい行政を実現する観点から、積極的に保障されるべきなのである。逆に、これを規制しようとする同条例案は、住民との共同を阻害する目的に出たもので、憲法21条1項に保障された政治活動の自由を不当に制約し、政治的行為の制限の解釈・運用に際し、職員の利益をも保護する趣旨であることを斟酌すべきとする地方公務員法36条5項にも違反するものである。

 「労使関係に関する条例」は、管理運営事項(地方公務員法55条3項)について、労働組合等との間の団体交渉はおろか意見交換すら禁止するものであるが、管理運営事項であっても、勤務条件などに関連する場合は団体交渉の対象になるものであるし、管理運営事項であるという理由のみで意見交換までも禁止することはコミュニケーションの拒絶というほかない。また、同条例案は、任命権者に、「適正かつ健全な労使関係の確保」のために、労働組合等の活動を検証し、一方的に違法と判断した組合活動を抑止する措置を求める権限を付与するなど、労働組合等の自主的な運営や活動に介入するもので、労使対等の原則に反するものである。さらに、同条例案は、労働組合等に対する便宜供与を全面否定するもので、大阪市においても、労働組合等の会議や集会のためへの市の施設の使用を不許可とするなど、組合活動への不当な介入の道具として悪用されているところである。これらは、労働組合そのものを否認するものであって、同条例案は憲法28条の労働基本権を踏みにじる違憲の条例といわざるを得ない。

 以上のとおり、両条例案の違憲性・違法性は明らかである。よって、大阪維新の会・大阪府議会議員団に対し、両条例案の提出を断念するよう要求するとともに、府民挙げて、両条例の制定に反対することを呼びかけるものである。

2012年10月12日
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令