声明

教育行政基本条例案および府立学校条例案の撤回・否決を求める声明

2012年03月14日

 大阪府は、2012年2月28日、大阪府議会に、教育行政基本条例案及び府立学校条例案を提出した。両条例案は、昨年9月に府議会へ提出された 教育基本条例案と同様、教育に政治介入し、教育の場に競争と管理統制を持ち込もうとしている。
 教育行政基本条例案前文は、「グローバル化の進展」などの「社会経済情勢」への対応を宣言し、競争社会を意識した方向性を示している。そして条例案は、知事が「目標」をも含む「教育振興基本計画」案を作成して府議会の議決を経ると定める(4条4項)。しかし、同計画の根拠条文である教育 基本法17条は、定めるべき事項として「目標」を含んでおらず、「教育の振興についての基本的な方針及び講ずべき施策」等についての「基本的な計画」を定めるものとしている。すなわち、同計画の中心は教育条件整備にあるのであって、ここに「目標」を含ませることは同法の趣旨を歪め、点数・進学率などを目標化して競争をあおる危険性がある。
 さらに、同計画は校長の定める学校経営計画の基礎とされる(府立学校条例案7条1項)。その策定には府議会の議決が必要とされてはいるが、教育委員会の同意は必須ではなく(同条例案4条3項)、審議会や公聴会の手続も不要であり、教育的見地から適切な内容となる制度的保障はない。教育に関する目標を知事と議会だけで政治的に決定してしまおうとするのである。
 しかも、その目標の達成に寄与したか否かが、教育委員の評価(同条例案6条3項)さらには罷免の事由(同条例案7条2項)にされる。これは、地方教育行政組織法7条1項が罷免事由を心身の故障や非違行為のみに限定していることに反する。
 このように、教育への政治介入に道を開くという点では、今回の条例案は、昨年9月に府議会へ提出された教育基本条例案と共通しており、その本質は何ら変わってはいない。
 また、府立学校条例案は、校長の意見に基づいて選ばれた少数の保護者と地域住民による「学校協議会」を設置して、教員の教育活動について調査・審議させる(12条)。その構成員が民主的かつ公平に選出される制度的保障はなく、協議会の構成員以外の保護者の発言権は保障されない。一部の有力者による教育介入が可能となってしまう。また、保護者に教員の教育活動についての調査・審議を求める権限を付与することは、教員と保護者を協力関係ではなく対立関係に立たせてしまい、教員を委縮させる懸念がある。
 このほか、3年連続で定員割れとなった学校の再編(同条例案2条2項)、高校の学区撤廃(同条例案2条3項)、学力テスト結果の公表を念頭においた情報公開規定(同条例案9条1項)などを定めており、学校間の競争を激化させ、点数による序列化と格差が持ちこまれる。
 校長は公募・任期制が原則となり、マネジメント能力ある者を任用基準とする(同条例案16条)。その校長は教員評価や学校運営について強大な権限を与えられる(同条例案6条、19条)。また、校長が発する同一内容の職務命令に3回違反した教員は職員懲戒条例27条2項に基づき分限免職処分の対象とされ、「日の丸・君が代」を強制する職務命令による思想良心の自由(憲法19条)の侵害が強められる。これらを通じて、教員に対する管理統制は著しく強化される。
 教育行政基本条例案・府立学校条例案には、以上のとおり、教職員への管理統制を強めるとともに、子どもを激しい競争に追いやり、等しく教育を受ける権利(憲法26条)を阻害するものである。
 私たちは、大阪府に対し、ただちに条例案の撤回を求めるとともに、広範な府民とともに、条例案の否決・廃案を求めてたたかう決意を表明するものである。
                                 

2012年3月14日
                                   民 主 法 律 協 会
                                   会 長 萬井 隆令