声明

職員基本条例案などの撤回・否決を求める声明

2012年03月14日

 大阪府は、2012年2月28日、大阪府議会に、「職員基本条例案」及び「職員基本条例の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案」(以下、「職員基本条例案等」という)を提出した。これを受けて、大阪維新の会府議会議員団が提出した職員基本条例案は取り下げられた。
 大阪維新の会が提出した条例案は、およそ条例案としての体裁をなしておらず、内容においても違憲、違法であり、提出が撤回されたことは当然である。しかし、これに代わる大阪府提出の条例案も、なお、自治体職員組織を変質させて、地方自治を破壊するものであり、当協会が昨年10月3日付「職員基本条例案の撤回を求める声明」において指摘した危険な本質は温存されたままである。
 職員基本条例案では、「都市間競争を勝ち抜く」ための「新たな地域経営モデル」が必要であるとうたい(前文)、管理職の任用や評価の基準に「組織マネジメント及び人材の育成に関する能力」を挙げ(8条4項、17条)、職員の評価は「実績」と「能力」によって行なうとしている(同14条1項、16条1項)。しかし、地方自治法1条の2が、地方公共団体の基本的役割は住民の福祉の増進を図ることであると定めているように、住民のニーズを的確に把握し、これにどう答えるかが自治体職員に要求される資質である。にもかかわらず、「経営」や「マネジメント」といった住民の福祉とは無縁の「実績」や「能力」で評価するというのは、地方自治の本旨にもとることである。職員基本条例案のねらいは、大阪維新の会が打ち出す大規模プロジェクトなどの営利企業の経済活動支援策に地方行政を集中させる一方、住民サービスや社会保障を切り捨て、自助・自己責任を押しつける自治体へと変質させるところにある。
 また、相対評価で2年連続最低ランクとなった職員に対し分限処分を前提とする研修を受けさせるなどの措置を講じるとする条項(同15条、整備条例案による改正分限条例案6条1項1号)は、批判にまったく耳を傾けることなく、頑迷に維持している。しかし例えば、保健や障害者福祉など職員のチームワークが要求される現場において、相対評価で必ず誰かが最低ランクの評価を受けなければならないというのは、まったく実態にそぐわないことであり、混乱と対立を招くだけのものである。現場に相対評価という競争主義を導入すれば公務サービスの破綻を来すことは自明の理である。
 さらに、職務命令違反を理由とする懲戒など機械的な懲戒の基準を定めている点(整備条例案による改正懲戒条例案2条)、一部事務組合化等に際し免職をしやすくする点(整備条例案による改正分限条例案8条)、管理職を公募制・任期制とする点(職員基本条例案8条)などの問題もある。
 要するに、職員基本条例案及び整備条例案は、地方公務員法の精神に背いて同法5条1項但し書きにより無効である上、憲法が求める「全体の奉仕者」としての地方公務員のあり方を損なうものである。このような違法・違憲の条例案を成立させるべきではない。
 よって、大阪府に対し、ただちに条例案の撤回を求めるとともに、広範な府民とともに、条例案の否決・廃案を求めてたたかう決意を表明するものである。

2012年3月14日
民 主 法 律 協 会
会 長 萬井 隆令