声明

労働者派遣法「改正」法の成立の強行に抗議する声明

2015年09月16日

労働者派遣法「改正」案は、本年6月19日に衆議院本会議における自民、公明などの賛成多数で可決されて参議院に送付され、本年9月9日に参議院本会議において自民、公明などの賛成多数で一部修正の上可決されて衆議院に回付され、同月11日に衆議院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。

成立した「改正」法(以下「本法」という。)は、無期雇用の派遣労働者について派遣先企業が無制限に利用できるものとされている。また、有期雇用の派遣労働者については、同じ派遣労働者の継続的な受入れは同一組織単位で3年まで(個人単位3年ルール)としつつ、同じ事業所での継続的な受入れは3年まで(事業所単位3年ルール)とするものの労働者の過半数代表から意見聴取さえすれば繰り返し延長可能としている。すなわち、派遣先企業にとっては、部署(組織単位)を変更しさえすれば、また、労働者の過半数代表から意見を聴取しさえすれば、永続的に派遣労働者を利用し続けることが可能になる。参議院において、施行日を本年9月1日から同月30日に変更する等の修正がなされたが、上記の枠組みは変更されていない。

与党が本法の成立を強行したことは、労働者の権利を踏みにじるものであり、断じて容認することはできない。

第1に、本法は、直接・常用という雇用の大原則を事実上投げ捨てるものである点である。1985年に成立した労働者派遣法は、不十分ながら派遣労働を一時的・臨時的なものに限り、派遣先の正社員に代替としないことを原則としてきた(常用代替防止の原則)。しかるに、本法で労働者派遣利用を自由化することにより、企業は正社員を雇わずに、派遣労働者で代替する動きが加速する。こうして正社員に置き換えられた派遣労働者は、不安定かつ劣悪な労働条件の地位に永続的に置かれることになる。しかも、個人単位3年ルールにより3年ごとに雇止めされる危険性が極めて高く、その都度、失業と再就職を強いられる。このように、本法は、「正社員ゼロ」「一生涯派遣」「労働者の無制約な使い捨て」を促進するものである。

第2に、本法は、本年10月1日から始まる「直接雇用みなし制度」を骨抜きにするために、その直前に駆け込みで施行しようとする点である。2012年改正派遣法において設けられた「みなし制度」は、脱法目的の偽装請負や派遣可能期間違反の派遣受入れ等の場合に、派遣先企業が当該派遣労働者に対し直接雇用を申し込んだものとみなすものであるが、同制度施行前日に本法が施行されると、派遣期間制限違反による制度発動は殆ど無くなる。すなわち、本法は、派遣労働者の直接雇用の期待を法施行直前に奪うものである。また、多くの派遣労働者の反対の声を無視し、省令・指針の整備も周知期間すらないまま、衆議院で審議抜き強行可決をした。こうしたやり方は、派遣労働者保護とは真逆の「派遣先企業保護法」であることを露骨に示すものである。

2008年のリーマンショックの際の大量の「派遣切り」が社会問題となり、派遣労働の規制強化こそが必要であることが明らかとなり、それが、国際的な潮流でもある。しかるに、本法はこれに逆行し、労働者を不安定雇用に追い込み、社会の格差と貧困の増大を促進する希代の悪法というべきである。

当協会は、「改正」派遣法の強行成立に厳重に抗議するとともに、本法の施行を延期して直ちに労働者の権利を保護する抜本的改正を行うよう、強く求めるものである。

2015年9月16日
民 主 法 律 協 会
会長 萬井 隆令