決議・声明・意見書

決議

教育基本条例案・職員基本条例案の撤回・不提出を求める決議

 松井一郎大阪府知事は、大阪維新の会が大阪府議会に提出した「教育基本条例案」・「職員基本条例案」を「修正」し、また、橋下徹大阪市長も、同内容の条例案を28日から開会する大阪市会に提出すると報じられている。
 「教育基本条例案」は、教育目標の設定権限を首長に付与し、公教育に政治が介入することを容認するもので、教育基本法16条に反する違法な条例案である。同条例案は、政治的に教師と生徒・児童に競争を押しつけ、関西財界が欲する「人材」養成をねらって、それに適合しない教師を切り捨て、 生徒・児童を置き去りにするとともに、「日の丸掲揚・君が代斉唱時起立強制条例」を教育現場に貫徹し、教職員の管理を強化することを狙っている。また、通学区域を撤廃し、定員割れを起こした学校を統廃合するなど、教育現場に「自己責任」を押しつけ、児童・生徒、保護者の教育権を著しく侵害するものである。小手先の「修正」で、同条例案の危険な本質は何も変わっていない。
 「職員基本条例案」は、成果主義と厳罰によって物言わぬ公務員づくりをし、地方公務員像を、住民の福祉の増進を図るため、住民のニーズに向き合うという地方自治の本旨に沿ったものから、首長が立てた政策目標を忠実に実行させる部隊へと転換させ、競争主義と自己責任を基調とする地方公共団体への改編を実行に移そうとするものである。そのことは、松井知事や橋下市長が職員の相対評価に頑迷に固執したことからも明らかである。
 大阪維新の会は、さかんに教職員・地方公務員や職員組合を批判し、給与削減や職員組合の活動を規制することを目論んでいる。橋下市長に至っては、当選会見から職員組合を敵視する発言を繰り返し、職員組合の庁舎内事務所の退去要求をするなど不当労働行為を繰り返し、テレビの取材に応じた職員に「反省文」を書かせるなどの強権的な職員支配を行い、更には、職員の内心の思想や、正当な政治活動、職員組合の自立的な活動に介入する、違憲・違法の「アンケート」調査を強行した。このような行為は、前記2条例案導入のたくらみと軌を一にするもので、到底許されない。
 私たちは、保護者・住民と向き合い、その願いに応える公教育と公共サービスを提供する教職員・公務員の育成こそ、地方公共団体に課せられた責任であると考える。前記2条例案は、こうした責任に反し、公教育や公務サービスに自己責任と競争を持ち込むものであって、明らかに保護者・住民の願いを踏みにじるものである。よって、大阪府議会に提出された前記2条例案をただちに撤回し、大阪市会への提出を断念するよう求める。

2012年2月19日
民主法律協会2012年権利討論集会参加者一同

 

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