声明・アピール・決議
改憲手続法案(国民投票法案)の参議院での徹底審議を強く要請します


 与党(自民党・公明党)は4月12日に衆議院憲法調査特別委員会で、引き続き13日に本会議で、野党の反対を押し切って、改憲手続法案(国民投票法案)を強行採決しました。

 この間の地方・中央における公聴会では、公募の公述人のみならず与党推薦の公述人からさえ、「憲法に関わる法律を拙速に採決することは問題がある」「もっと慎重に審議して欲しい」などの指摘がなされているところです。

 与党の修正案は3月27日に提出されたばかりであり、4月9日報道にかかるNHKの世論調査でも、法案に賛成と回答した29%の中でも「今の国会で成立させるべきだ」との意見は28%であり、全体の1割に満たない現状です。また「廃案にして出直せ」とした衆議院可決翌日の朝日新聞報道をはじめ(4月14日)、地方紙を中心とする各新聞紙上においても、数の力で押し通そうとする政治手法に対する批判・懸念が示されています。

 さらに全国の全ての弁護士が加入する日本弁護士連合会をはじめ、全国22の単位弁護士会(4月10日現在)においても、「慎重」ないし「反対」の意見書・声明・決議が発表されており、憲法研究者をはじめとする法学者111名は、4月11日、慎重審議を求める緊急声明を出しました。
 以上の通り、主権者国民の意思がなによりも重視されなければならない憲法改正手続にかかわる問題であるが故、十分な時間をかけて慎重に審議するべきであるとするのが大多数の国民の意思であると考えられます。そのような民意を踏みにじっての暴走=強行採決は絶対に許されません。

 また、内容的な面からも、強行採決された改憲手続法案は国民主権の観点から見過ごすことの出来ない重大な問題が残されています。
 第1にテレビ・ラジオの有料広告を事実上、野放しにして、財政力のある改憲勢力に有利に働くようにしていること、第2に憲法改正投票の成立要件を「有効投票」の過半数とし、最低投票率を定めていないため、最少の「賛成」で改憲が実現する非民主的な制度であること、第3に、外国では例のない公務員や教育者の国民投票運動を「地位利用」を理由に制限していること。などの問題です。

 参議院における審議においては、改めてゼロからの出発として、上記各論点を含む問題点につき、期限を定めることのない徹底的かつ真摯な議論を求めます。また広く国民各層からの意見を審議に反映されるよう、地方公聴会の開催を含む充実した公聴会の実現に努力されることを要請します。
 

2007年4月20日
 民 主 法 律 協 会
会長 小林 つとむ
   
 
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