声明・アピール・決議
教育基本法「改正」法を拒絶し、日本を「戦争する国」に仕立て上げる憲法改悪とこれを実現する改憲手続法成立を断固阻止する

  1.  2006年9月26日、首相に就任した安倍晋三氏は、5年以内に改憲を実現すると公言した。
     既に05年11月の自民党大会で決定されている新憲法草案は、現憲法前文に明記されている不戦の決意も平和的生存権の保障も削除した上で、第2章の表題を「戦争の放棄」から「安全保障」に変え、海外での武力行使の歯止めになっている現憲法9条2項を削除して、「自衛軍を保持」し、自衛軍は「国際的に協調して行われる活動」に参加できるとしている。かかる事実に照らせば、安倍首相の公言した改憲の狙いは、軍隊を持ち、交戦権、集団的自衛権を認め、自衛軍の海外での武力行使を可能にすることによって、アメリカが引き起こす戦争に日本も参加し、アメリカと一緒になって罪のない多くの他国民を殺傷できるようにすることにあるのは明らかである。

  2.  かかる狙いを持った改憲を実現するために、06年12月14日、自民党・公明党の与党は、民主党と協議の上改憲手続法案の修正案を日本国憲法に関する調査特別委員会に提出した。修正案は、@最低投票率の定めがなく少数の国民の賛成でも改憲が可能となる点、A公務員・教育者の自由な意見表明を不当に制限する一方で、テレビ・ラジオの有料広告による世論操作に何らの制約も加えていない点、Bその委員が各議院における各会派の所属議員数の比率によって選任されるというしくみの「憲法改正案広報協議会」(憲法改正案の要否並びに解説などの憲法改正案の広報に関する事務を行う協議会)には何ら修正も加えず、改憲派に偏った不公正な宣伝をもたらす構造をなお有している点、C発議から投票までが60日から180日間とされて短期間に国民投票の投票日を迎えることなど、国民の意思形成過程を歪めて、依然として国民の意思を正確に反映させない不公正な内容になっている。

  3.  折りしも前同日、政府与党は参議院教育基本法特別委員会で、翌15日には参議院本会議で、圧倒的多数の国民の声に支えられた野党全員の反対を押し切り、国会内部の数による暴力で、教育基本法「改正案」を強行採決した。この強行採決は、タウンミーティングにおいて「やらせ質問」、「さくら発言」を仕組んでいた卑劣な文部科学行政の責任を曖昧にしたまま、国家が教育に介入して、国のために死ねる人間をつくるためになされた蛮行であり、まさに、国民の意思を正確に反映させることなしに憲法改悪を実現しようとする改憲勢力のやり方と軌を一にするものである。

  4.  われわれ民主法律協会は、国家権力から言われるままに自らの命を犠牲にしアメリカと一緒になって海外で他国民を殺傷する国民をつくり出す教育基本法「改正」法を断固拒絶するとともに、日本を「戦争できる国」に仕立て上げる改憲策動とこれを実現する改憲手続法の成立を必ず阻止し、現行日本国憲法を21世紀の進路を示す誇り高い平和憲法として、憲法擁護のたたかいを一層強力に推し進めることを決意する。

2007年2月18日
 民主法律協会2007年権利討論集会
   
 
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