声明・アピール・決議
教育基本法「改正」案の強行採決、防衛庁を省に移行させる「防衛省」昇格法の可決・成立に断固抗議する

 政府与党は、2006年12月14日、参議院教育基本法特別委員会で、翌15日参議院本会議 で、野党全員の反対を押し切って、教育基本法「改正」案を強行採決した。
 これらの強行採決は、各新聞やNHKの世論調査で明らかになっている慎重審議を望む多数の国民の声、教育基本法を変える必要はないという圧倒的多数の国民の声、日本弁護士連合会や全国52単位弁護士会のうちの50弁護士会が公表した反対・慎重審議を求める意見、研究者・教職員、学生・生徒にも広がった反対の声を無視してなされたものである。まさに主権者たる国民の声に反し、国会内部での数の力だけに頼った暴挙である。
 しかも、この強行採決は、タウンミーティング174回についての報告書によって明らかになった「やらせ質問」、「さくら発言」という卑劣な行為によって「国民の声を聞いた」という虚構をでっち上げた行政の責任を曖昧にしたままなされたものであって、正義に反すること著しい。
 他方、この教育基本法「改正」案が強行採決された日、参議院本会議において、防衛庁を防衛省に移行させる「防衛省」昇格法案が可決・成立させられた。同法は、「防衛大臣」に強大な権限を与え、周辺事態法に基づく「米軍支援」や「国際平和協力活動」を自衛隊の「本来任務」とするものであり、「国土防衛のための最小限の防衛力」であったはずの自衛隊をアメリカとともに海外で戦争する「軍隊」へと変質させるものである。
 この「防衛省」昇格法は、国家が教育に介入して、国のために喜んで死ねる人間をつくろうとする教育基本法「改正」法と相俟って、日本を「戦争する国」に変容させるものであり、憲法9条の戦争放棄、また19条の思想良心の自由を侵害する明白な違憲の立法である。
 われわれ民主法律協会は、このような教育基本法「改正」案の強行採決及び「防衛省」昇格法の成立に断固抗議し、今後とも、この平和憲法を21世紀の世界の進路を示す誇りとして、改悪反対、憲法擁護のたたかいを一層強力に前進させることを決意するものである。

2006年12月18日
                       民 主 法 律 協 会
会長 小林 つとむ
   
 
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