声明・アピール・決議
出資法上限金利の例外なき引下げを求める決議
  1.  5社以上の消費者金融から借金をしている多重債務者は約229万人、経済的理由による自殺者は年間約8000人と、多重債務による深刻な被害が生じている。 高金利のため、貸せば貸すほど業者は儲かる。そこで債務者の返済能力を超えた過剰貸付がなされる。返せないから過酷な取立てがなされ、債務者・保証人やその周囲の人々の生活が破壊される。このような多重債務被害をなくすには、根元である高金利を絶つことが必要である。少なくとも、出資法の刑罰金利(現行上限年29.2%)を利息制限法が定める制限金利(年15〜20%)にまで引き下げる法改正を実現しなければならない。
     2006年7月6日、自民党金融調査会・公明党金融問題調査委員会は「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」(以下「考え方」という。)をまとめた。これを受けて、今秋の臨時国会にも法案の提出が予想される。

  2.  高金利問題について、与党「考え方」は、利息制限法違反の金利取得を認めるみなし弁済(貸金業法43条)は廃止すべきとの意見で一致し、出資法の上限金利を利息制限法の金利水準に引き下げるべきとの意見が大勢であるとした。また、日賦貸金業の特例(年54.75%)についても廃止で概ね一致した。これら規制強化策が打ち出されたことは高く評価できるものである。
     しかし、他方で、「考え方」には、高金利規制を骨抜きにしかねない重大な問題点がある。
     まず、利息制限法の金利を高いほうの年20%に一本化して引き上げる等の意見が併記されている。
     また、少額や短期の貸付については特例金利を設けるとの意見も併記されている。これでは、複数の会社を使って顧客をキャッチボールすることで容易に規制を潜脱することができてしまう。
     さらに、保証料問題(貸付や切替えごとに名目貸付額の数%を「保証料」名下に一見資本関係のない別会社に支払わせる。実質金利が年利100%を超えるケースも多い。)や遅延損害金問題(「遅延損害金」名目で最大で利息の2倍の高金利を取得する。)等、利息制限法の脱法行為への対策が明確ではない。これらについても全面的に利息とみなして金利規制をしなければ、脱法行為が横行することになる。

  3.  私たちは、多重債務問題の解決のため、
    @ 出資法の上限金利について、一切の例外も脱法も許さず、現行の利息制限法1条の上限金利の水準まで引き下げる法改正を実現すること
    A さらに利息制限法の制限金利を引き下げること
    を強く求めるものである。

     以上、決議する。

2006年8月26日
                       民主法律協会第51回定期総会
   
 
← BACK TOP↑