声明・アピール・決議
教育基本法改悪を許さない決議
  1.  教育基本法改悪の情勢について
     政府与党は、憲法改正に歩調を合わせるように、教育基本法「改正」に向けた議論を継続している。教育基本法「改正」の狙いは、@政府・財界が推し進める新自由主義構造改革の担い手を育成すること、A戦争国家の担い手を育成すること、Bこれらを自主的に進んで実践する国民、あるいは批判しないで甘受する国民へと国民の心そのものを支配しようとすることにあり、憲法改正と軌を一にしたものであることは明らかである。
    また、靖国・教科書問題を中心に、政府とアジア諸国の矛盾が深まり、侵略戦争の責任を認めようとしない保守勢力の問題性が明らかになっている。

  2.  2005年5月11日には、文部科学省が与党検討会に教育基本法「改正」要綱素案を提示したとされるが、内容は未公開で、与党検討会で密室協議が続けられている。衆議院の解散によって、法案が国会に上程されることはなかったが、与党としては、憲法改正案とともに、いつでも提出できるようにその機会をうかがっている。
      現に、自民党は、2005年8月に発表した「自民党重点施策2006」の中で、 「社会の大きな変化の中で、わが国が力強く発展していくためには、新しい時代を 切り拓く個性と創造力を持ち、国際社会の中で、我が国の歴史や伝統、文化に誇り をもつ、心豊かでたくましい日本人を育てることが重要」であるとし、「しかし、 依然として子どもたちの心の荒廃、青少年犯罪、家庭の崩壊など、様々な深刻な問 題を抱えて」いるので、教育を根本から見直し、思い切った改革を行うことが不可 欠であるとしている。
      そして、そのために、「教育基本法を改正し、豊かな情操と道徳心にあふれ、正 義と責任を重んじ、伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心や公共の精神が身に付 く教育、また、家庭や地域の教育力の回復を実現します。教育振興基本計画を策定 し、わが国の目指すべき教育を進め」ていくという。
      ここには、これまでの自民党政府の教育行政の責任を棚上げにし、問題の原因を 教育基本法に押しつけようという許し難い責任転嫁が見られる。そして、その目指 す教育観は、道徳心や、伝統文化の尊重や愛国心であるとされており、その内容は、 戦前の軍国主義の下の教育内容と酷似している。

  3.  私たちは、平和と民主主義、基本的人権を守り発展させる立場から、教育基本法の改正に強く反対するとともに、今後も、幅広い市民・市民団体との連携を図りながら、教育基本法の改悪を阻止する運動に全力を尽くすものである。

2005年8月27日
                       民主法律協会 第50回定期総会
   
 
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