声明・アピール・決議
自衛隊のイラクからの即時撤退を求める決議
  1.  自民党は、2005年12月14日で派遣期限が切れる自衛隊のイラク派兵に関し、「無責任な即時撤退はしない」と公言している。自民党によれば、派兵継続は、日本の国際的責任を果たすべく国際協調、国際テロ撲滅活動やイラクの現状、諸外国の支援状況や日本の国益を勘案して判断するとしている。一方、アメリカは、最悪の場合、今後、4年間派兵を延長する可能性を公言している。

  2.  イラクに大量破壊兵器が存在しなかったこと及びイラクとアルカイダとの関連がなかったことを、アメリカ自身が認めるに及んで、イラク戦争はアメリカによる無法な侵略戦争であることが誰の目にも明らかになった。
     イラクに駐留する国も、相次ぐ撤退によって、かつての37カ国から20数カ国になろうとしているが、イラク政府自身がそのような撤退に抗議することもなく、自立に向けた活動をしている。そのような中で、アメリカ軍の駐留数の多さが異様に際だってきて、アメリカ軍の占領色がより強くなっており、アメリカ軍をねらった自爆テロも後を絶たない。これに対しアメリカ軍もテロ組織に対する弾圧を強め、さらにはイラク政府軍による弾圧行為も加わり、これがイラク政府に対する自爆テロをも招来するようになり、イラク国内は混乱の極みに陥っている。
     そのような中で、自衛隊派兵の大義名分である「人道復興支援」も、大野防衛庁長官自身が、かつて衆議院テロ対策特別委員会の中で、「浄水のニーズはなくなる」と公言したように、自衛隊をこれ以上イラクにとどめておく理由は何一つないことは明らかであり、アメリカ軍に加担する軍隊と認識され、テロ攻撃の標的になりつつあり、自衛隊員の生命・財産の危険が増していることから、自衛隊の早期撤退の必要性がある。

  3.  政府は、昨年12月に決定した「新防衛大綱」で、「国際的な安全保障環境を改善してわが国に脅威が及ばないようにすること」、そのための、「同盟国との協力」をかかげたが、イラクへの自衛隊派兵は、まさにアメリカの先制攻撃戦略に日本の自衛隊が協力するということ、それだけを目的とすることは明白である。
     このまま、自衛隊のイラク駐留を継続すれば、「人道復興支援」という大義名分もなくなり、まさに自衛隊が米軍と一体となって軍事行動を展開する侵略者として憎しみの対象となり、イラク国民からも攻撃の対象となって、自衛隊の犠牲者を生むとともに、自衛隊がイラク国民を殺す加害者となるおそれが生じる。
     今後、本年12月に昨年の派兵延長の決定と同様の愚を犯して再度派兵期間を延長するとすれば、上記の危険・おそれは益々増加し、現実化するといって過言でない。それは、まさに第2次大戦後における最悪の事態であり、平和憲法の下、世界平和を願って活動してきた日本およびその国民を裏切ることになって、そのような活動によって培ってきた日本及びその国民の国際社会での信用も喪失することになる。

  4.  私たちは、かかる最悪の事態を未然に回避するためにも、自衛隊がイラクから即時撤退することを断固求めるとともに、本年12月に再度派兵期間の延長を閣議決定しないよう断固求めるものである。
                                                            以上

2005年8月27日
                       民主法律協会 第50回定期総会
   
 
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