声明・アピール・決議
憲法改悪に反対する決議
  1.  衆参両院の憲法調査会は、本年4月に最終報告書を提出することを目指し、締めくくりの討論に入っている。衆院憲法調査会では、2月中にも憲法の全ての分野にわたって討議を終了するための強行日程が組まれている。
     ところで、憲法調査会の規程では、最終報告書については「調査及び結果」を記載するとして、一定の方向性を出すことになっていない。
     にもかかわらず、調査会の編集方針では、テーマごとに意見を類型化し、多数意見、意見の分布状況を示し、議論の全貌をわかりやすく提示するため、総論・総括的な部分を設けるとしている。これでは、改悪に向けた事実上の論点整理をすることになり、「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ことを目的とする調査会の設置の趣旨を逸脱することになる。実際、一部の新聞は、「9条改正論が多数」と最終報告書に明記することで自公民三党で合意したと報道して、世論誘導するに至っている。
     このように、最終報告書提出を、改憲論議を盛り上げる新たなきっかけにしようという動きが強められていることは軽視できない。

  2.  また、憲法改正国民投票法案では、民主党は「憲法の中身の議論と、改正手続とは別だ。手続をやることを遅らせる理由はない」と国民投票法の早期制定に意欲を示している。公明党も、今国会で成立させることについて異論はないとし、憲法調査会の最終報告書を受けて法案を国会に提出するタイミングでいいと同法の成立を容認している。しかし、この法案は、9条明文改憲に向けた手続を準備することを目的とするものであることは明らかであり、発議方法や国民的議論の保障などの点でも様々な問題がある。

  3.  財界の動きをみても、日本経団連は、1月18日、憲法9条の改正を求め、自衛隊の保持を明示し、国益や国際平和のため集団的自衛権も行使できると明確化するよう憲法改正を提言する報告書を発表した。財界ではすでに、経済同友会と日本商工会議所も提言をまとめており、憲法改正で経済団体が歩調をそろえることになった。

  4.  このように憲法改正をねらう勢力の動きは急ピッチであるが、これに対して全国各地で「9条の会」が発足するなど、9条を守れという運動がかつてない規模で草の根から進んでいる。大阪でも、大阪弁護士9条の会が結成され、職場や地域でも相次いで9条の会が結成されている。
     私たちは、憲法改悪を阻止し、憲法を暮らしの中に活かしていくために、9条をはじめとする憲法の諸原則が、今日ますます光り輝いていることを広く訴え、広範な運動を広げていくことを決意する。

2005年2月13日
                       民主法律協会 2005年権利討論集会
   
 
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