声明・アピール・決議
大阪府立5病院の地方独立行政法人化をはじめとした公務の市場化・
 アウトソーシング化を許さず、府民の権利と職員の雇用をまもる決議
 大阪府は、府立の5病院を府から切り離して、独立採算優先の運営にする「地方独立行政法人」に変更しようとしています。太田知事は「財政危機」を口実に「全国一スリムな組織づくり」をうちだして自治体業務のアウトソーシングを進めようとしており、今回の府立5病院の地方独立行政法人化はその突破口となるものです。
 府立の病院はこれまで、民間の医療機関では担いにくい高度で不採算な分野や、精神保健医療、結核・感染症対策などを大阪府の行政部門と連携し、府民が安心してかかれる医療サービスを提供してきました。病院の経営が独立採算になれば、収益をあげるために、差額ベッド料、診断書料、駐車場代などが値上げされるおそれがでてきます。「高度医療に患者負担が増える」「採算のあわない医療が切り捨てられる」「看護師などの職員が大幅に削減され、手厚い看護が受けられなくなる」など患者へのサービスを低下させる深刻な問題をうみだします。また府立の病院の独立行政法人化は、労働条件の一方的な不利益変更や本人同意なしの身分移行も可能という不当極まりないものです。
 いま政府・財界は、国や自治体のあらゆる公共業務を民間営利企業に開放するとともに、NPM(new public management)と称して行政そのものを民間企業と同様の経営体に変質させようとしています。そのための手法として、従来からの民間委託、民営化に加え、「指定管理者制度」、「地方独立行政法人」、「PFI」、「官民競争入札」(市場化テスト)などの導入を狙っています。公共業務が採算や利益優先で民間の市場に委ねられれば、@国民の人権保障機能の後退、A安上がり競争によるサービスの質の低下、B国民の民主的なコントロールの低下、C利権・癒着の拡大、D労働者の権利侵害など重大な問題をもたらします。
 私たちは、国民への公的責任を放棄する公務の市場化・アウトソーシング化に断固反対し、国・自治体が憲法に記された国民の諸権利を保障するための行政を行うように強く求めます。そして、大阪で自治体アウトソーシングの重大な突破口とされている府立5病院の地方独立行政法人化を許さず、府民が安心してかかれ、職員が働き続けられるように府立の病院の充実・強化がはかられるように闘うものです。

2005年2月13日
                       民主法律協会 2005年権利討論集会
   
 
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