声明・アピール・決議
利用しやすく実効性ある労働審判制の運用を求める決議
 近年の個別的労働紛争の件数は、ますます増加傾向がある。 労働局の個別紛争処理解決制度において、2003年度の労働相談件数は、14万1000件(前年比36・5%増)、同年度あっせん申請5300件(前年比76%増)、そして、申請人の約六割が正社員、パート・アルバイト・派遣が3割となっている。また、リストラ・残業110番では、解雇、賃金未払い、残業代未払い、労働条件切り下げなどのの相談事例が殺到しており、まさに、今の雇用社会の現状は、労働法無視の状態が横行している。
 今回の司法改革の労働裁判改革の議論を経て、個別的労働関係の迅速・適正かつ実効性ある解決を図ることを目的とする労働審判法が、2004年4月28日に国会で可決成立し、2年後である2006年4月から施行予定である。労働審判制度が、労働者の泣き寝入りを許さないためにも、激増する個別労働紛争を簡易・迅速に、裁判官だけでなく専門的な知識・経験を有する労働審判員を参加させて、実効的な解決を図り、法の支配を回復するシステムとして有効に機能させていかなればなならない。
 協会としては、この観点から、労働審判法の施行に向けて、以下のことを強く求める。

          記
  1. 制度の周知・啓蒙と本人申立の援助
     裁判所として、労働審判の概要や手続きの流れを記載したパンフットやビデオで制度の周知・啓蒙を行うとともに、労働者本人が申立できるように定型申立書を備え付け、また、裁判所の窓口相談を充実させること

  2. 労働審判員の選任
     全国の地裁に配置できるだけの雇用労使関係に知識・経験を有する者の人材を早急に確保するとともに、労働審判員の選任のシステムは、公平な基準に基づき、選任過程の透明性を確保すること、特に、労働組合からの推薦については、労働組合の系統別、産業別、企業規模、男女の割合などに配慮すること

  3. 労働審判官の数と労働審判廷の確保
     労働審判を担当する適任である裁判官の確保、書記官、審判廷など裁判所の人的・物的な拡充をすること

2004年8月28日
                           民主法律協会 第49回定期総会
   
 
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