声明・アピール・決議
今こそ、憲法改悪を許さないたたかいに結集を
 「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている。」アーミテージ米国務長官は、7月21日、自民党国対委員長との会談で、海外での武力行使を禁止した憲法9条を取り払い、日本をアメリカの戦争に参加させようとする本音を明け透けに語った。
 昨年の総選挙に続き、今回の参議院選挙でも意図的な「保守2大政党制」が既定路線であるかのように宣伝され、選挙の結果は、数の上では国会における憲法「改正」発議の政治的条件が整ったかにみえる。
 すでに2003年7月24日、自民党憲法調査会は、集団的自衛権の確認、自衛軍の設置、国民の国防義務、首相による国家緊急事態宣言と緊急命令権など重大な内容を含む改憲要綱案を発表している。小泉首相は、2005年11月までに自民党の改憲案を作成することを指示し、自民党結党50周年をひとつの契機として、自民党案をまとめていきたいと表明して、改憲への具体的日程を示していた。さらに、自民党は「おおよそ3年後、2007年には戦後初の憲法改定が実現する」と位置付けて、改憲への動きを活発化させている。
 また、国会においては、憲法調査会が、改憲への方向を打ち出す「最終報告書」づくりにむけて動きを強めてる。さらには、憲法調査議員連盟の名のもとに多くの議員を結集し、憲法改正手続きを法制化する国民投票法案をつくり、来年の通常国会に提出する準備がされている。さらに、公明党はもちろんのこと民主党までが、創憲と称して、憲法改正に手を貸そうとしている。
 この間、自衛隊のイラク派兵を機に、日本を海外での武力行使、集団的自衛権の行使が出来る国にするための動きが着々と進められている。しかし、専守防衛、集団的自衛権は行使できないと明言してきた自民党は、これ以上解釈改憲で対応することがもはや限界であるとして、明文改憲に乗り出すに至っている。アーミテージ発言も、アメリカの世界戦略にとって自衛隊の海外派兵が不可欠だという意思の表明である。さらには、財界首脳までが、「タブーを打破しない限り、日本を変える真の改革は断行できない」として、「日本がリーダーシップを取るには軍事力充実が必要ではないか」という問題提起を行うに至っている。
 まさに、第9条を核とした憲法改悪の危険は現実のものとなりつつある。
 しかし、アメリカは国連をも無視して地球的規模で先制攻撃戦略を展開しているのであって、アメリカのイラク戦争については、ドイツ、フランスなど少なくない国がこの戦争への協力を拒否したし、少なくない国が現実に軍隊を撤退させている。また、世界各国で広範な戦争反対の運動が巻き起こった。アメリカの戦争に日本が参加したり、ましてや平和憲法を改悪することは、このような平和を求める国際世論にも逆行するものである。
 また、アジアはもとより、世界に対する戦争の脅威をいっそう強めるものである。
 侵略戦争への深い反省のうえに立ち、戦争を放棄して軍隊を保持しないとした憲法の平和原則は、平和的手段によって紛争を解決する立場を前提としている。この憲法の立場で平和を実現する道を求めることこそ、イラク問題を平和的に解決する唯一の方法である。
 世界と日本の平和にとっても、また私たち国民一人ひとりにとっても、かけがえのない価値を持つ憲法の改悪は絶対に許してはならない。「9条の会」発足に代表されるように、良識ある市民が憲法改悪反対の声をあげ、運動を起そうとしている。いまこそ、多くの国民に訴えて、全国各地で憲法改悪の動きに反対の声をあげることが求められている。
 民主法律協会は、平和を求める一人一人の国民の声を、平和憲法を守るために大きく結集し、広範な国民の共同をつくりあげるために全力を尽くすことを決意する。

2004年8月28日
                           民主法律協会 第49回定期総会
   
 
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