声明・アピール・決議
大阪法律家7団体共催シンポジウム「これでいいのか地労委-地労委の活性化を目指して」集会宣言
  1.  私たちは、本日、「これでいいのか地労委、地労委の活性化を目指して」と題するシンポを行った。最近の不当労働行為救済申立事件の特徴としては、親会社がその支配力を行使する事件、能力主義・成果主義などの人事管理制度を利用した昇格・昇進差別事件、および、混合組合や、非正規職員や外国人労働者やその組合が申立人となる事件が増加し、内容も複雑・多様化している。このような労働情勢の激変と使用者側の攻撃の激化に対して、労働者の雇用や権利を護るために、労働組合の団結権を擁護し、団結権侵害排除を目的とする不当労働行為の救済機関である労働委員会に対する期待も益々大きくなっている。

  2.  本日のシンポで、指摘された地労委の3つの問題点について、私たちは次のとおり、改善を求める。
     その第1は、審理の充実と遅延の解消である。大阪府地労委の命令・決定事件の平均処理日数は、平成14年で1165日、平成15年で1172日を要している。遅延の原因は、使用者側が資料を出し渋ることや、結審後に命令を交付するまで長期間を要することにある。言うまでもなく、救済の遅延は、流動的な労使関係にあって「不当労働行為のやり得」という結果を招く。私たちは、地労委に対して的確な争点整理と早期の証拠提出を求めるなど充実した審理を行い、また、結審時に命令交付日を指定し命令交付までの期間を大幅に短縮することを強く求める。
     第2は、命令の水準である。大阪地労委では、全部棄却件数が、平成12年5件(比率6%)、同13年11件(比率11・1%)、同14年13件(15・5%)、平成15年15件(14・6%)と増加傾向にあり、また、申立適格や使用者性を厳格に解して却下する決定も目に付く。言うまでもなく、不当労働行為か否かの判断は、当該行為の外形や表面上の理由のみで形式的・表面的観察をするだけでは足りず、諸事情を実質的・総合的に判断することが必要である。私たちは、地労委に対して、団結権擁護機関として、不当労働行為の認定について意欲と熱意をもってあたり、申立適格や使用者性についても、司法判断に影響されることなく、幅広く判断されることを強く求める。
     第3は、命令の実効性の問題である。使用者側は、救済命令が発せられても、これに従わずに再審査を申し立てたり、同様の不当労働行為を繰り返すことが見受けられる。救済命令の実効性が確保されないならば、まさしく画に描いた餅となり、不当労働行為制度の存在意義は失われる。私たちは、地労委に対しては、同種の不当労働行為を繰り返す企業には速やかに救済命令を出すなど強い姿勢で臨むことを求め、また、命令の実効性をもたせる法改正を強く求める。

  3.  現在、国会に上程されている労働組合法改正法案のなかで、審査手続きの改善(審査迅速化のための調査の充実、証人の出頭及び証拠提出を命じることができる実効的な仕組みなど)、審査体制の改善(小委員会方式の導入、公益委員の一部常勤化など)が取り上げられている。
     今後、このような制度改革と運用改善を通じて、審査の充実と遅延の解消、不当労働行為の適正な認定、命令の実効性の確保が図られることを強く求めるものである。

2004年6月12日
                           連合大阪法曹団
大阪労働者弁護団
民主法律協会
自由法曹団大阪支部
大阪社会文化法律センター
青法協大阪支部
日本労働弁護団大阪支部
参加者一同
   
 
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