声明・アピール・決議
定期借家制度の見直し等の借地借家法改悪に反対する決議
  1.  政府・自民党は、規制改革の一環として、定期借家制度についての規制を緩和し、借地借家法第28条の正当事由のあり方を見直すとして、借地借家法を「改正」しようとして いる。
     具体的には、@居住用建物(200u以下)について、当事者が合意した場合には普通借家権から定期借家権への切り替えを認めること、A居住用定期借家契約に関して強行規定となっている借主からの中途解約権を廃止すること、B定期借家契約締結の際の書面による説明義務を簡素化すること等が検討されている。また、同時に、C借地借家法第28条の正当事由について、立退き料・老朽化・利用状況といった要件を具体的に見直し、貸主による解約を容易にする事が検討されている。

  2.  これらの動きは、貸主側に一方的に有利なものであり、借主の居住の安定を奪い、中小業者の営業の基盤を脅かすものである。
    @ まず、普通借家権から定期借家権への切り替えを認めることは、借主にとって全くメリットがない。2003年9月に行なわれた国土交通省のアンケート調査の結果を見ても、定期借家契約において必ずしも家賃が低廉化するとは言い切れない。切り替えを認めることによって、借主は定期借家契約の内容をよく理解しないまま、一方的に契約の終期のみを押し付けられる危険性が高い。
    A 次に、居住用建物について借主からの中途解約権を廃止するならば、転勤・療養等の事情により借家に住み続けることができなくなった者についても、契約期間中の家賃もしくは違約金等を支払わなければ解約ができないことになる。反面、貸主側はこれにより家賃の二重取りが可能になるなど、その不公平は明らかである。
    B 書面による説明義務の簡素化については、貸主の便宜のみに配慮し、紛争を未然に防止する事を放棄したものである。そもそも、定期借家制度は、契約終了時等にトラブルが多く発生することが予想される契約類型である。しかも、今回の「改正」により、普通借家権から定期借家権への切り替えを認め、借主からの中途解約権を廃止するならば、なおさらトラブルが増えることは明らかである。この点は今回の「改正」の不合理性を明らかにしているものと言える。
    C 借地借家法上の正当事由のあり方を見直す点についても、その前提は、正当事由の拡大というところにあり、貸主による解約を容易にするものである。これにより、借主の居住や中小業者の営業の不安定を招き、新たな社会問題を惹起する事が予想される。

  3.  定期借家制度が導入された際には、不動産業界から自民党への献金攻勢があった事が明らかになっている。今回の「改正」案もこのような業界の要望に答えるものに他ならない。
     私たちは、今回の「改正」に断固として反対し、借主の居住の利益をないがしろにする定期借家制度の廃止を求める。

2004年2月15日
                           民主法律協会
2004年権利討論集会
   
 
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