声明・アピール・決議
有事関連7法案の国会提出に反対する決議

 政府は有事法制関連7法案を3月上旬にも国会に提出しようとしている。
 私たちは、有事法制関連3法の成立の際、この法制が平和主義、基本的人権の尊重、国民主権という憲法の基本原則に抵触し、国際法規を無視した侵略戦争への途を開くとして強く抗議し、後に予想される「米軍支援法制」「国民統制法制」を始めとする有事法制関連法案の国会上程に対して強く反対し、これを阻止する闘いに全力を尽くすことを表明してきた。
 今回、政府が提出した関連7法案の内容については、報道されている範囲でも、私たちが警告したとおり平和憲法の枠組みをなし崩し的に取り払うものとなっていることは明らかであり断じて許されない。
 米軍に水・燃料などを提供できるようにする「米軍支援法」(米軍行動円滑化法案)では、自衛隊が米軍に物品と役務を提供するよう定め、「自衛隊法改正案」で提供の手続きを定めるとされている。現在は共同訓練や周辺事態の際は、食料や水、燃料などを提供し、輸送や通信などを行うとされているが、武器・弾薬の提供は含まれていないのを、有事の際に武器・弾薬も含めようとしている。
 イラクに派兵された自衛隊へのテロと武力攻撃事態対処法との関係については、政府は「国に準じる組織的な攻撃とはみなさず、武力攻撃事態法の発動はない」としている。しかし、政府は、日本国内でのテロの可能性は生じており、「大規模テロ・犯罪」を有事として、国民統制法制を発動しようとしている。
 既に、運輸、通信、電力など、有事の際に協力を要請する「指定公共機関」となる可能性が高い民間事業者や業界団体を対象に説明会も開かれており、その場で政府は、大規模テロへの対応についても国民統制法案で「緊急対処事態」として有事に準じ対処する方針を説明している。このように有事関連法が先走って、武力攻撃事態でなくても、「国民保護整備本部」が立ち上げられ、発動する可能性が生じている。
 この他、「外国軍用品等海上輸送規制法案」は、周辺事態では正当防衛などに限られた不審船への射撃の要件を日本有事の際に緩和し、「交通・通信総合調整法案」により、有事の際の港湾や空港、道路、電波などの利用を規制、首相は空港と港湾を、米軍と自衛隊が優先利用できるよう管理者に要請し、従わない場合は指示できるようにする。「捕虜等取り扱い法案」はジュネーブ条約に沿う形で、捕虜の保護や待遇、抑留の際の条件、収容所の設置手順などを定め、重大な条約違反に対する罰則は「非人道的行為処罰法案」で定める等々、平和憲法の下で決して許されない内容が盛り込まれている。
 このような憲法違反の法案が、またしても国民に広く知らされることなく、国民的な議論もないままでなし崩し的に強行されようとしている。
 民主法律協会は、有事関連7法案の国会上程に強く抗議し、これらの法案を阻止する闘いに全力を尽くすことをあらためて表明するものである。
 
 
2004年2月15日
                           民主法律協会
2004年権利討論集会
   
 
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