声明・アピール・決議
イラク特措法案の成立に抗議し、自衛隊派遣を行わないことを求める声明
 与党3党の賛成により、26日、イラク特別措置法案が成立した。
 イラク特別措置法案は、自衛隊が他国領土で米英軍を主力とする多国籍軍を支援することをその目的とするものである。
 平和憲法を有するわが国は、専守防衛の方針をとり、自衛隊に関しても、相手国の同意の存する国連のPKO活動に協力する場合以外、他国領土に派遣されたことがなかったところ、今回の派遣には、国連の要請もイラクの同意も存しない。
 本法案に先立つ米英軍によるイラク侵攻は、自衛のためでも国連決議によるものでもなく、明らかに国連憲章に反するものであり、国連安保理も、最後まで武力行使には反対していたのである。現時点においても、国連からの派遣要請はない。
 イラク領土からは未だ大量破壊兵器は発見されておらず、米英軍による軍事占領は何らの正当性も有しないものであり、違法な軍事占領下のイラクには、統治機構は存在せず、イラクの同意がないばかりか、米英軍に対する抵抗は現在も継続しているのである。
 このように、国連の要請もなくイラクの同意もない現状において、これまでの歯止めすら破らなければならない理由は全くない。
 しかも、イラク領土からは、未だ大量破壊兵器は発見されておらず、米英が主張した正当性さえ大きく揺らいでおり、イラク全土は、米英軍とフセイン政権支持勢力との戦闘状態が継続している。
何らの正当性のない軍事占領下にあり、現在も戦闘状態が継続しているイラクにおいて、国連要請もイラクの同意もないまま、自衛隊がイラクにおいて、戦闘継続中の米英軍のために武器・弾薬・兵員を輸送することは、決して「非戦闘地域での後方支援」などにとどまるものではない。自衛隊がイラク国民に対し武力を行使せざるをえない事態も必然的に予想されるのであるが、これは明らかに憲法に反するものである。さらには、自衛隊員が攻撃により死傷する事態の発生さえも予想されている。

 イラク特措法案は、このように憲法上の大きな問題を抱えているにもかかわらず、延長国会におけるわずかな審議のみで、国民の意見も大きく分かれる中、与党3党が衆参両院においてイラク特別措置法案を強行採決したことは、到底容認することができない。

 民主法律協会は、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権という基本原則に抵触し、国際法規を無視した米英の侵略戦争へ加担することとなるイラク特別措置法案の衆参両院強行採決による成立に強く抗議すると共に、憲法に反した自衛隊派遣を行わないことを強く求めるものである。
2003年7月28日
                           民主法律協会
会長 小林つとむ
   
 
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