声明・アピール・決議
有事関連三法案の衆議院採決強行に抗議し、即時廃案を求める声明
 与党3党ならびに民主党、自由党は、5月15日、衆議院本会議で、いわゆる有事関連3法案の採決を強行した。平和主義、基本的人権の尊重、国民主権という基本原則に抵触するおそれがあるにも関わらず、国民的な議論のないまま、わずかな審議時間で採決が強行されるという暴挙に対し、強く抗議するものである。
 修正案では、基本的人権の尊重が盛りこまれたが、この法案が基本的人権を侵害する危険性があることに何ら変わりはない。
 また、「武力攻撃予測事態」の定義は不明確なままであり、場所的範囲について、在外公館への攻撃の危険なども含み限定はないということであれば、「備えあれば憂いなし」どころか、先のイラク攻撃にみられるような米軍の侵略戦争について、自らも参戦していくための「侵略戦争の途を開く」ものに他ならないのである。
 さらに、有事における首相の地方公共団体や指定公共機関に対する指示権、代執行権には何ら変更なく、有事における民主的な統治機構や地方自治を維持できるかどうかに関する疑問は払拭されていない。NHKのみならず民放を含むマスメディアが政府の統制下におかれる危険性にも何ら変わりはない。
 このように修正案には、明らかに憲法に反する問題点が残されたままである。
 また、衆議院の強行採決に関しては、民主党や自由党も賛成したことで、「多くの支持が得られた」とか、「民主党に政権担当能力があることが明らかになった」などとも言われているが、第二次世界大戦前の翼賛政治へと逆行しつつあることを危惧せざるを得ない。
 参議院には、今こそ衆議院へのチェックという二院制本来の役割を果たすことが求められている。わずかな審議のみで強行採決すると言った暴挙が繰り返されてはならない。徹底した審議を尽くさなければならないことは当然であるが、そもそもこのような憲法原則に関わる法案は、一度、十分な国民的な議論に供した上で出直す必要があると言わざるを得ない。
 民主法律協会は、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権という基本原則に抵触し、国際法規を無視した侵略戦争への途を開く有事法制関連三法案等に断固反対し、早急に廃案とすることを強く求めるものである。
2003年5月16日
                           民主法律協会
会長 小林つとむ
   
 
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