声明・アピール・決議
有事関連三法案に反対し、即時廃案とすることを求める声明


 与党三党は、4月1日に行われた衆議院・武力攻撃事態対処特別委員会の理事懇談会で、有事法制関連三法案の「修正案」の再提出と理事会・委員会の開会・審議を要求した。昨年4月17日の国会提出から1年、国民的な批判・反対を受け、第154通常国会、第155臨時国会と2度にわたって継続審議となった有事三法案について、与党単独での採決強行がなされようとしている。
 この三法案は、米軍の侵攻戦争に追随して兵站基地となるとともに自らも参戦していくための「海外侵攻型有事法制」であり、決して「武力攻撃から国民を守る」などというものではない。すなわち、有事法案の中核である武力攻撃事態法案では、「わが国」に対する武力攻撃が「発生した事態」「おそれがある場合」「予測される事態」への「対抗措置」として武力行使ができると定められているが、政府の説明によれば、「わが国」の範囲は、日本領域だけでなく、周辺事態法やテロ対策特別措置法などの海外派兵法に基づき海外で輸送や補給などの米軍支援を行う自衛隊の艦船なども含まれるのであり、まさに、海外で米軍を支援する自衛隊部隊に対する攻撃のおそれがある場合や予測される事態が生じても有事法案は発動されるのである。しかも、アメリカは、イラク戦争では、国連安保理の決議がなく、圧倒的国際世論が反対するなか、先制攻撃をしかけており、このようなアメリカの無法な戦争に日本が巻き込まれるおそれがある。
 他方で、政府与党関係者は、北朝鮮の「脅威」をあおり立て有事法制の成立を図ろうとしているが、これは、米軍が、朝鮮半島有事で、日本を出撃基地として北朝鮮のミサイル基地等に先制攻撃をかけようとする場合、日本政府が武力攻撃事態を宣言して戦争態勢に入り、個人の土地や建物を強制使用して防御施設の構築を行い、日本国土全土を戦争に巻き込むことを準備しようとするものに他ならない。
 あわせて国会で審議されている「国民保護法制」、「個人情報保護法案」「人権擁護法案」が重なり合ったとき、すべての地方自治体や民間企業は指定公共機関や指定地方公共機関として、政府の指示のもとで「有事対策計画」をつくらされ、「有事対応演習」に駆り立てられ、病院・福祉施設・学校・保健所などのすべての機能が動員され、また、個人の情報は国家の管理統制下におかれて戦争に反対する言論が統制される中で、国民は総力をあげてアメリカの侵略戦争に協力を余儀なくされることになるのである。
 イラクに対する無法な戦争をアメリカが強行する今、朝鮮半島有事を想定した有事三法案を強行すれば、瀬戸際外交を続ける北朝鮮を徒に刺激し、その結果、ブッシュ政権による北朝鮮討伐戦争開戦の口実を与え、ひいては、日本は国土と国民のすべてを捧げて戦争のための兵站基地になり、自らもアメリカに追随して参戦していくことになりかない。
 日本が選択すべきは、このような侵略戦争へと進むことではなく、あくまでも平和を維持できるように、国連を中心として国際社会と連帯しながら外交努力を継続していくことである。
民主法律協会は、国際法規を無視した侵略戦争への途を開く有事法制関連三法案等に断固反対し、早急に廃案とすることを強く求めるものである。

                     
2003年4月11日
                          民主法律協会
会長 小林つとむ
   
 
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