決議・声明・意見書

決議

トランプ政権による国際法を無視した軍事攻撃及び日本における改憲と軍拡の動きに抗議する決議

1 アメリカとイスラエルの連合軍は、2026年2月28日、イランに対し、大規模な軍事攻撃を実施し、イランの最高指導者であったハメネイ師をはじめ指導部高官多数を空爆によって殺害した。この攻撃により、子どもを含む200人以上の民間人が死亡した。これを受け、イランはホルムズ海峡の海上封鎖に踏み切り、世界的な石油価格の高騰と深刻なインフレを誘発している。6月17日、アメリカとイランは停戦合意に至ったものの、合意は直ちに破られた。現在、武力行使の応酬はさらに拡大する傾向にあり、イラン及び湾岸諸国において深刻な人的・物的被害が生じている。

 これらの軍事作戦について、トランプ大統領は、アメリカの権益を守る軍事行動であり、イランが核兵器を製造する可能性があるため「先制防衛した」という一方的な主張をしている。しかしながら、国連憲章2条4項は武力による威嚇又は武力の行使を禁じ(武力行使禁止原則)、同2条3項及び33条は国際紛争を平和的手段によって解決する義務を定めている。トランプ政権による一連の武力行使が、これらの国連憲章をはじめとする国際法に違反することは明白であり、断じて許されない。また、アメリカとイスラエルが攻撃を行った時点で、イランが両国に対し武力行使や武力による威嚇を行った事実はなく、国連憲章51条に規定される自衛権の行使に当たらず、「先制攻撃」であったことは明らかである。

このような国際法を無視したトランプ政権の蛮行は、ロシアや中国による軍事的行動を助長しかねず、国際社会における法の支配を損ない、ひいては国際社会の平和と安定を根底から揺るがす危険がある。武力による紛争解決は、いかなる目的によっても正当化されない。各国が一致団結してこれを厳しく批判し、これ以上の戦闘の拡大を何としても阻止しなければならない。ところが、日本の高市首相は、3月19日に行われた日米首脳会談において「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と述べて事実上の支持を表明し、アメリカの軍事行動を諫めるような発言は一切しなかった。同盟国という立場であるからこそ、国際法違反を厳しく批判しなければならないのではないか。

 現在、高市政権のもとでは改憲と大軍拡の動きが加速している。6月には憲法改正の手続を定めた国民投票法改正案が衆議院で賛成多数で可決された。また、2026年度予算のうち、防衛関連費及び関連経費の合計は国内総生産(GDP)比で1.9%となり、総額は10兆6,000億円規模となった。しかしながら、唯一の被爆国であり、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めた憲法9条を持つ日本がなすべきことは、戦争の悲惨さを訴え、対話(外交)による平和の実現を率先して世界各国に働きかけていくことではないか。

 平和憲法を擁護し、労働者と勤労者の権利擁護と民主主義の前進を目的とする当会は、国際法を無視したトランプ政権の蛮行に対して強く抗議するとともに、憲法9条の平和主義を破壊する高市政権の姿勢及び改憲と大軍拡の動きに対しても断固として声を上げていくものである。

2026年8月29日
民主法律協会 第71回定期総会

民主法律時報アーカイブ

アーカイブ
PAGE TOP