声明・アピール・決議
労働者派遣法の早期抜本改正を求める決議

  1.  昨年末以降の「派遣切り」等により、厚生労働省が把握しているだけでも、3952事業所、23万2448人が失職しました。そのうち6割は派遣労働者です。また、違法な派遣就労は後を絶たず、次々と裁判が提起される状況にあります。
     派遣労働は、労働者の使い捨てを許し、雇用責任をあいまいにする制度であるため、本来的には、廃止すべきです。少なくとも、労働者派遣法の早期抜本改正により、派遣労働者の窮状を早急に是正することが目指されるべきです。
     この点、政権与党は、総選挙後政権合意を発表し、労働者派遣法の抜本改正を掲げましたが、昨年末に行われた労働政策審議会の答申は、政権与党が昨年6月に作成した改正法案(3党案)よりも大幅に後退したものとなっており、政府与党の姿勢が問われる事態が生じています。

  2.  民主法律協会派遣労働問題研究会は、2008年5月27日、既に抜本的な改正案を発表し、また民法協としても、時々の情勢に応じて意見を発表してきました。民法協が2010年1月29日に発表した「労働政策審議会の答申に対する意見書」では、早期抜本改正のためには、答申について以下のような修正が必要とされています。
    (1) 答申が前提とする自公政権案に含まれていた規制緩和条項は含めてはならない。
    (2) いわゆる登録型派遣の原則禁止に関して
     @ 派遣が許される「常用雇用」とは期間の定めのない雇用に限るとすべきである。
     A 派遣事業はすべて許可制とすべきである。
     B 派遣終了を理由とする解雇を規制すべきである。
     C 政令指定業務についても「登録型」を禁止すべきである。
    (3) 製造業務派遣は、全面的に禁止すべきである。
    (4) 派遣先労働者との差別禁止規定を設けるべきである。
    (5) みなし雇用制度に関して
     @ 客観的に違法派遣であればこの制度の適用を認めるべきである。
     A 私法上の効力が認められることを明記すべきである。
    (6) 派遣先の雇用責任の強化等について、3党案に盛り込まれていた規制を設けるべきである。とりわけ、派遣労働者の労働基本権の保障を明記すべきである。
    (7) すべての改正について、6か月以内の政令で定める日から施行されるべきである。施行にあたっては、派遣労働者の雇用の安定を図る措置がとられるべきである。

  3.  労働者派遣法の改正は、派遣労働者の生活・権利の改善というばかりでなく、労働者のための法規制を労働者・市民の力で実現していく、その第一歩となる重要な意義を有しています。
     私たちは、政府に対し、真に実効性のある抜本的な法改正を行い、かつ、その改正を早期に施行するよう強く求めるとともに、今後ともこれを実現するための取り組みを強める決意を表明いたします。

2010年2月14日
民主法律協会権利討論集会
参加者一同
   
 
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