声明・アピール・決議
  労働者派遣法の早期抜本改正を求める決議

  1. 総選挙の結果
     2009年8月30日に実施された衆議院総選挙は、自民党が衆議院において初めて第1党から転落し、野党の民主党が絶対過半数を獲得した。今回の選挙結果は、自民党と公明党の政権交代を求める国民の意思の現れであり、これまでの政策を見直す大きな機会である。とりわけ、規制緩和が続いてきた雇用労働政策分野で、抜本的な政策見直しを行うべきである。

  2. 緊急の課題、労働者派遣法の抜本改正
     非正規雇用労働者の拡大と不安定化を招いた要因である労働者派遣法の規制緩和(労働者供給事業の規制緩和)の早期の抜本的な見直しは急務である。
     厚労省は選挙告示後の8月18日にも、非正規労働者の雇い止め状況についての調査結果を発表した。報告によると昨年10月から本年9月までの雇用調整予定の労働者の調査結果では、全国3,952事業所で合計232,448人の労働者が雇い止めされ、うち派遣労働者が140,086人(60.3%)、期間工52,353人(22.5%)となっている。
     かかる雇用喪失状況を生み出す手段として利用された労働者派遣という就労形態が見直しを迫られていることは明らかであり、安定した雇用制度の確立は早急に実施すべき緊急の課題である。

  3. 派遣法改正法案の評価点と問題点
     今後、政権党となる民主党は、総選挙直前である本年6月に、社民党、国民新党と共同して労働者派遣法の改正法案を国会に提出した。
     法案の内容は、一般業務についての登録型派遣の廃止、製造業務への労働者派遣の原則的禁止、一定の違反がある場合に派遣先との雇用関係をみなす規定の創設、派遣先の団交応諾義務の明示など、派遣労働者保護のために実効ある規制を含んでいる。
     その一方で、政令指定業務について登録型派遣を存続させている、製造業務への派遣を例外的に許容しており、かつ、その範囲が不明確である、派遣先労働者との均等待遇原則が不明確であるなど十分に検討されなければならない問題点もある。

  4. 労働者の実態を直視した派遣法の抜本改正を求める
     派遣労働者の不安定な雇用実態を踏まえ、より実効ある労働者派遣法を実現するために、上記の問題点を克服すべきである。また、派遣労働者の不安定で、劣悪な状態の是正には一刻の猶予もないのであるから、できる限り早期に労働者派遣法の改正が目指されるべきである。
     民主党は、社民党、国民新党と連立政権作りの協議を開始した。新政権は、労働者派遣法改正はもとより、今後必要となる有期雇用労働規制、非正規労働者の均等待遇の実現など、不安定雇用と低賃金に苦しめられてきた非正規労働者の権利保障のための政策転換を早期に実現すべきである。
     現実に働く労働者の実態を直視し、労働者の声に耳を傾け、当面の労働者派遣法の抜本改正を直ちに実現することを政府、国会に求める次第である。

     以上、決議する。

2009年9月4日
 民主法律協会第54回定期総会
   
 
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