声明・アピール・決議
   労働者派遣法の抜本改正を求める決議

 今、日本中で、「派遣切り」「期間工切り」の嵐が吹き荒れている。企業の一方的な都合によって何万人、何十万人という非正規労働者がまさに使い捨てられている。職を奪われ、住まいを追われ、路頭に迷わざるを得ない非正規労働者があふれている。
 「好きな時間に仕事ができる」、「いろんな仕事を経験できてキャリアアップできる」。そんな嘘まやかしを並べ立てて、実際には企業にとって使い勝手のよい「雇用の調整弁」として活用するため、「規制緩和」を繰り返してきた。企業はその恩恵を受けて、この数年間、史上空前の巨額の利益を上げ、株主配当と役員報酬を大幅に増やしたうえ、巨額の内部留保を貯め込んできた。「規制緩和」が労働者をどのような状況に導いたか、今や明白であり、労働者保護のために規制の再整備が緊急に求められている。

 平成20年11月4日に政府が閣議決定した「労働者派遣法改正案」は、日雇派遣を規制するという謳い文句とは裏腹に、その内容は実効性の乏しいものである。それだけでなく、政府・与党の改正案では、期間を定めないで雇用される派遣労働者については、派遣先による事前面接を解禁し、また政令指定業務に期間を定めないで雇用される派遣労働者については、現行法の派遣先の直接雇用申込義務を適用しないという、労働者保護とはまったく正反対の内容が盛り込まれている。派遣受入れ期間の制限のない政令指定業務は、政令によって容易にその範囲が拡大する恐れもあり、派遣労働者が生涯にわたって、派遣として固定化されてしまうことに道を開くことになる。
 雇用は、直接かつ期間の定めのないものであることが大原則である。政府・与党案はそれを根本から否定するものである。

 私たちは、政府・与党の改正案に断固反対し、真に労働者の保護のために以下のとおり労働者派遣法の抜本的改正を強く求める。
  1. 労働者保護を法の目的として明記し、派遣は直接雇用の原則、常用代替禁止の趣旨に著しく反しないよう、臨時的限定的なものであることを宣言すること
  2. 派遣労働契約は期間の定めのない契約に限り、不安定雇用の温床である登録型派遣は廃止すること
  3. 派遣対象業務は、真に専門的・一時的なものに限定したポジティブリストに戻すこと
  4. 偽装請負などの違法があった場合には、実効性のない行政指導に止まることなく、派遣先との間に労働契約が成立しているものとみなす「みなし規定」を創設し、派遣先企業の雇用責任を厳しく問うこと
  5. 派遣労働者の権利行使を理由とする労働者派遣契約の解除禁止など合理的理由のない中途解約を禁止するなど、労働者保護の視点から労働者派遣契約に対する規制を強化すること
  6. マージン率について上限規制を設けること
  7. 同一業務を担当する派遣先正社員と派遣労働者の労働条件について、差別待遇禁止を明記すること
  8. 実効性ある労働者保護のために違反企業への罰則などを強化すること


2009年2月8日
 民主法律協会2009年権利討論集会
   
 
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