声明・アピール・決議
シンポジウムアピール
 ―貧困をなくし真に自由で民主的な社会の実現のため
           連帯を強めよう―


  1.  民主法律協会は、毎年、春闘の時期に、討論集会を開催しながら、時々の課題に応じたアピールを行ってきた。これまでも権利闘争と運動を交流し合い、国民の権利が保障される民主的な社会、国のあり方を討論してきた。
     2008年の権利討論集会では、個別課題の議論を交流しあい、個々の権利闘争に潜む問題を見つめるため、「この国の今と権利闘争」と題するシンポジウムを開催した。

  2.  シンポジウムでは、個別の権利闘争の中から見えてくる現代日本の課題が明確となった。裁判闘争、労働委員会闘争では、個別労働組合の取り組みが社会的な運動に大きな影響を与えること、個々の職場での権利を確立するための裁判闘争や労働委員会闘争が重要であり、裁判所や労働委員会で勝利を得るためにも日常的な職場の活動が重要であることが確認された。
     派遣請負問題、有期雇用、パート労働の権利分野では、正規労働者が組織されている労働組合が、派遣労働、非正規労働や偽装請負、偽装雇用で働く仲間のために立ち上がることが必要であり、すべての働く人々が共に闘うことこそが重要であること、正規労働者と非正規労働者の連帯した実践が大きな成果を上げていることを知った。
     過労死・過労自殺をなくすための闘いの分野では、正規労働者の働きすぎと非正規労働者の低労働条件が表裏の関係にあり、命と健康を守る闘いが非正規労働者の劣悪な労働条件の改善の活動と無関係ではないことが示された。過労死をめぐる個々の裁判において、裁判所が使用者に命じた健康配慮義務を働く現場で実現するためには、労働組合がその本来の役割を果たすことが重要であることが指摘された。
     言論表現の自由の分野では、ビラ配布弾圧事件などに見られるような「安全・安心」という市民的要求の名の下に、権力による表現の自由の抑制が正当化されようとしていること、民主的で社会的な連帯が確立された地域社会こそが、安心・安全と表現の自由の両立ができる条件ではないかとの問題提起がなされた。

  3.  個々の権利闘争は、決して個別的権利の救済のみが目的ではない。これらの権利闘争の取組みのひとつひとつの総体が、現代の日本の格差を是認するのではなく、個人の尊厳と人格の自由を保障できる社会をつくる運動となっていく。
     個人の権利保障と社会的連帯の確立こそがワーキングプア問題を解決するために必要で重要な課題である。
     私たちは、1956年以来、労働組合、借地借家人組合を初めとする民主的な個人と団体、学者、弁護士が連帯して結成された団体として活動してきた。今回のシンポジウムを契機に、分断され、貧困化が進み、ますます格差が大きくなっている日本社会の中で、あらためて個人の尊厳と自由の保障のため労働組合等の団体と個人が連帯を強め活動を広げていくこと決意する。
  
2008年2月17日
 民主法律協会2008年権利討論集会
   
 
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