声明・アピール・決議
労働者派遣法の抜本的見直しを求める決議


  1.  派遣・偽装請負(個人請負を含む)など間接雇用の問題は、格差と貧困を生み出す大きな要因となっている。間接雇用労働者は、使い勝手のよい労働力として、労働分野の底辺に位置づけられ、その非人間的な就労実態は、文化的な生活はおろか、健康や生命さえ脅かされる状況にある。これらの状況は、虐げられた労働者の勇気ある告発、違法行為の是正を求める粘り強い闘い、その闘いを支援する運動を通じて社会的に暴露され、その状況の打開をめざす闘いは、労働者派遣法を抜本的に改正しなければならないという大きな運動へと発展してきている。
     労働団体では、2007年9月13日、連合は「労働者派遣法見なおしに関する連合の考え方」を発表し、2008年1月23日、全労連が「労働者派遣法の抜本的改正を求める『全労連法案要綱素案』」を発表した。また、政党では、日本共産党が、2007年12月18日「日本共産党の労働者派遣法改正要求」を発表し、社民党は、2008年2月13日、「労働者派遣法の抜本改正に向けて(案)」を発表した。このような情勢の中で、民主党は、日雇い派遣の禁止、2カ月以下の労働者派遣契約の禁止、派遣元と派遣先の双方の共同使用者責任の明確化、派遣会社の手数料の上限規制などの内容を盛り込んだ労働者派遣法改正案を今国会に提出する方針を明らかにし、公明党も、日雇い派遣を原則禁止とする法案を今国会に提出する考えを表明した。
     国会内外での共闘もすすみ、2007年11月20日、2008年1月30日には、労働団体や政党が集って院内集会を成功させ、さらに、2008年2月27日にも院内集会が予定される状況となっている。

  2.  一方、政府・財界は、この期に及んでも、労働者派遣法自体について、さらなる規制緩和をすすめる姿勢を変えていない。その内容は、2007年6月29日に発表された日本経団連の規制改革要望によれば、派遣禁止業務の解禁、いわゆる事前面接禁止の撤廃、雇用申込義務の廃止、派遣期間制限の撤廃等を含むものであり、まさに労働者派遣の完全自由化をめざすというものである。このような方向での法改訂を、2009年通常国会で実現しようとしているのである。

  3.  このように、労働者派遣法の改訂をめぐる問題は、現在の格差と貧困をめぐる問題の中心的対決点となっており、また、労働者・市民の側の要求と、政府・財界の側の要求とが真っ向から激しくぶつかり合う政治的対決点となっている。
     当協会は、労働者派遣法が労働者の生活と権利を破壊する法制であることを、その制定前から明らかにし、その制定に反対する運動を展開してきた。また、具体的な事案の告発及び是正を求める運動を全国に先駆けて先進的に取り組んできた。
     今こそ、直接雇用の原則に立ち返って実質的な使用者が雇用に責任を持つ就労関係を実現するため、少なくとも、派遣可能業種の専門業種への限定、登録型派遣の廃止、みなし直接雇用規定の導入、派遣先労働者との均等待遇などの労働者派遣法改正が行われることを強く求めるものである。
     
   以上のとおり、決議する。

2008年2月17日
 民主法律協会2008年権利討論集会
   
 
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