声明・アピール・決議
憲法違反の「新テロ特措法」の議決に抗議し、
平和憲法の擁護を求める決議

 2008年1月11日、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を再開する「新テロ特措法」が成立した。
 同法案は、いったん参議院で否決されたにもかかわらず、政府与党が衆議院での再議決を強行したものである。昨年の参議院選挙で示された「海外派兵反対」という世論に反する暴挙には、まったく道理がない。
 同法案は、テロ対策やアフガニスタン和平支援を名目とするものである。しかし、インド洋へ派遣される自衛隊の実態は、米軍艦船への給油や警護により侵略戦争を直接支援するものである。新テロ特措法が戦争放棄を定める憲法9条に違反することは明白である。
 福田首相は、同法成立後、自衛隊海外派兵を恒久化するための一般法(恒久法)の検討をすすめると言明している。本法は、海外派兵の永続化への足がかりとされるとともに、憲法を変えて「戦争のできる国づくり」を目指す動きの先駆けである。決して容認できない。
 加えて、先の臨時国会では民主党が武器使用基準を緩和し、派兵恒久法の制定を宣言する内容の「対案」を出して継続審議扱いとなったので、現在開会中の通常国会に引き継がれている。民主党案を軸に自公民が合意すれば、容易に派兵恒久法が成立することとなり、「戦争のできる国づくり」が一層深化するゆゆしい事態である。

 テロは決して許されない蛮行であるが、戦争や武力によってテロをなくすことは不可能であることは、イラク戦争の推移をみても明らかである。米軍の先制攻撃によるイラク戦争後、イラク全土で自爆テロが多発し、イギリスやスペインでもイラク戦争への報復と思われるテロが発生している。「テロとの戦い」の名の下に戦争をすすめることは、暴力の連鎖を生み出すだけであり何の解決にもならない。

 憲法9条が遵守された平和な社会でこそ、私たちの権利と生活が守られる。
 新テロ特措法の強行成立に抗議してその廃止を求めるとともに、あらためて平和憲法の擁護を強く訴えるものである。

 以上のとおり決議する。

2008年2月17日
 民主法律協会2008年権利討論集会
   
 
← BACK TOP↑