声明・アピール・決議
格差・貧困をなくし、働く者の権利、平和・民主主義を擁護・発展させる闘いを、今こそ大きく広げよう!


  1.  去る7月29日に投票が行われた第21回参院選で、国民は、小泉前内閣の弱肉強食の「構造改革」路線を引き継ぎ、さらに「美しい国づくり」を掲げて憲法改悪に突き進む強権政治を行ってきた安倍内閣と自民・公明両党に、歴史的大敗をさせる選択を行った。参議院242議席中、自民・公明は非改選議席をあわせても105議席しか取れず、他方、民主党は非改選をあわせて112議席に躍進し、共産党(7議席)、社民党(5議席)、国民新党(4議席)を加えると、野党が参議院で過半数を制する結果となった。

  2.  90年代半ばから、財界は正規雇用を非正規雇用に置き換える政策を取り、政府・与党は労働法制を改悪してこれを促進してきた。その結果、この10年間で正社員は80%から65%に減少し、パート、アルバイト、派遣、「偽装請負」を含む業務請負、個人請負などの非正規労働者が20%から35%に増加し、ホームレス、ワーキングプア、ワンコールワーカー、ネットカフェ難民などが社会問題となっている。また正社員もリストラや不当解雇、残業代不払いに苦しみ、長時間労働により心身の健康が破壊され、過労死・過労自殺が激増している。さらに財界は、労働者を際限なく働かせることができるホワイトカラー・エグゼンプションの導入に執念を燃やしてきた。
     また、政府・与党はアメリカに追随してイラクに自衛隊を派遣したうえ、アメリカと一緒に戦争ができる国にしようと、憲法改悪を狙い、防衛庁を防衛省に格上げし、教育基本法を改悪し、また改憲手続法を成立させ、国民監視と治安強化を強めている。
     当協会は、広く民主的勢力とも共同して、このような政府・与党・財界の動きに反対し、労働者・国民の権利を擁護すべく、全力で取り組んできた。

  3.  民主党は、裁量労働制の導入や要件緩和、労働者派遣の原則自由化などに賛成してきたし、また9条改憲を柱とする「憲法提言」を掲げているが、今回の選挙で国民に公約したマニフェストには「働き方」の改革、労働時間管理の徹底、時間外労働の割増率50%化、全国最低賃金制と3年間での全国平均時給1000円化、イラク特措法の期限延長反対、共謀罪導入反対など、積極的な内容が盛り込まれている。
     このような民主党のマニフェストと、参議院での野党の過半数議席の獲得という結果は、広がる格差・貧困に対する国民の怒り・不安に加えて、私たちのこのような取り組みが一定程度反映したものであるとともに、労働者の権利、平和と民主主義の擁護・発展のための闘いに新たな条件が広がったことを示している。

  4.  私たちは、参議院選挙での与党大敗のもと、国会でも改憲と労働者いじめ・格差拡大の政策に歯止めをかける手がかりができた条件を活かして、憲法擁護、雇用と権利とくらしを守る運動をさらに発展させることを決意する。


2007年8月18日
 民主法律協会第52回定期総会
   
 
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