声明・アピール・決議
自民・公明両党の国民投票法案の廃案を求める声明


 声明の趣旨
 与党(自民党・公明党)は、2007年4月13日、衆議院本会議で、野党の反対を押し切って、国民投票法案を強行採決し、参議院に送付した。私たちは、この与党の行った暴挙に強く抗議するとともに、参議院において、同法案を廃案にすることを強く求める。

 声明の理由
 強行採決された国民投票法案は、次に指摘する問題点等故に、国民の意思を正確に反映させることなしに、改憲へと誤導するしくみになっている。
 @ 最低投票率の定めがなく、改憲に有効投票の過半数の賛成があればよいので、少数の賛成で改憲が可能となる。
 A 公務員・教職員に対する運動規制がなされているため、500万人にのぼる公務員・教育者の主権者としての国民投票運動の機会が奪われる。
 B その一方で、有料意見広告に対する規制が弱いために、主権者たる国民の公正な情報の享受が妨げられ、資金力に富む改憲派が「カネで改憲を買う」危険が極めて大きい。
 C 一括投票に道を開く危険が残されている。
 与党は、これらの問題点を残したまま、国民投票法案を強行採決したのであって、主権者たる国民の意思を歪めて改憲を実現しようとしていることは明らかである。

 他方、NHKによる世論調査(2007年4月9日)によれば、「賛成」の29%に対し、「反対」、「どちらともいえない」が64%であり、「今国会で成立させるべき」は「賛成」のなかの28%、全体のわずか8%にすぎない。
 日本弁護士連合会も2度にわたって意見書を発表して法案を批判し、また、全国の各地の弁護士会でも法案の問題点を指摘し慎重な審議を求める意見書・声明・決議が表明されており、その数は2007年4月20日の時点で40を超えている。さらに憲法研究者をはじめとする法学者114名も2007年4月11日慎重審議を求める緊急声明を発表している。
 野党の反対を押し切って、与党が開催した中央公聴会や地方公聴会では、与党推薦の公述人を含めた圧倒的多数の公述人が、法案に対する反対意見や慎重審議を求める意見を表明した。
 与党が、このような国民の大多数の意見を無視して衆議院における多数の力にのみ頼って、国民投票法案を強行採決したことは、まさに民主主義を蹂躙する暴挙としか言いようがない。

 憲法改正は、国のあり方を決める極めて重大な問題である。それ故、その手続法をつくるについては審議に審議を重ね、国民的議論を尽くす必要がある。にもかかわらず、与党は国民の大多数の意見を無視して国民投票法案を強行採決したのである。
 私たちは、この与党の暴挙に強く抗議するとともに、与党の強行採決によって多くの問題点を残したまま拙速に衆議院を通過したこの法案について、参議院では上記問題点を含め、あますところなく国民に明らかにするとともに、法案を廃案にすることを強く求める。


2007年4月25日
 青年法律家協会大阪支部議長 片山 文雄
大阪労働者弁護団幹事長 北本 修二
大阪社会文化法律センター代表幹事 武村二三夫
自由法曹団大阪支部支部長 吉岡 良治
民主法律協会会長 小林つとむ
   
 
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