声明・アピール・決議
イスラエル政府に対して、パレスチナに対する軍事攻撃を中止し、
     全占領地域から撤退し、「オスロ合意」の立場に立ち帰ることを求める
  1. 連日の新聞等の報道によれば、イスラエルのシャロン政権は、イスラエル軍をヨルダン西岸のパレスチナ自治区に侵攻させたうえ、パレスチナ自治政府を「テロ支援団体」と決めつけアラファト議長をその首領として攻撃し、ラマラの自治政府公館を戦車で包囲して同議長をまさにその一角に閉じこめ、電気・水道等の供給を絶ち、さらに外部との連絡を遮断するという暴挙に出た。
      またイスラエル政府は、パレスチナ自治区全域にわたって、アメリカからの提供による圧倒的な武力をもって軍事的支配をうち立て、住居に突然押し入り、銃を乱射しあるいは住宅を破壊するなどし、その結果多数の死傷者を出して住民の日常的な生活さえきわめて困難にしている。
      さらに妊婦が出産のために病院に行くのを阻止して死産を余儀なくさせ、あるいは病人が病院で治療を受けることさえ出来ないなどの非人道的で悲惨な事態を続出させているとも報じられている。
  2. このような暴挙は、中東におけるパレスチナ独立国家とイスラエルの共存を基本として相互の生存権を確認し、対話によって平和的な解決をめざすことを内容とするパレスチナ自治政府とイスラエルの間における「オスロ合意」(1993年)の基本的立場を根底から覆し、イスラエル自体も含めてパレスチナ全域にふたたび果てしのない戦乱と殺戮をもたらす事態に道を開くことにつながるものである。
     このような事態について、国際連合やアラブ諸国をはじめ世界の多くの国・団体・市民が、イスラエル政府に対して、抗議を集中し、ただちにパレスチナ自治区から軍隊を撤退させ、平和の回復を図ることを要求している。
     しかしイスラエル政府は、その軍事侵攻や住民の生活と生命の危険を脅かしている暴挙を中止しようとしない。
  3. イスラエル政府のパレスチナ自治区に対する従来からの軍事的攻撃や、さらにそれがこのたびのような大規模なパレスチナ自治区の抹殺作戦ともいうべき事態にまで立ち至っている背景には、アメリカ政府、とりわけブッシュ政権におけるイスラエル政府の「テロに対する攻撃」への露骨な支持、経済援助と武器の提供などによる支援の政策があることは公然の事実である。
    最近においても、イスラエルを支持する立場から、アメリカ政府は、イスラエルとパレスチナ間の暴力による対決を防ぎ、パレスチナ住民を保護するための監視機構の設置を促す国連安全保障理事会の決議案を拒否権を発動して和平への努力を葬った。
    パレスチナ自治区に対する軍事侵攻を初めとするイスラエル政府の無法を擁護するアメリカ政府の立場は厳しく批判されなければならない。
  4. しかし、イスラエル政府のこのような無法やアメリカ政府のこれに対する支持が、その口実とする「テロを止めさせその基盤を絶つ」ことになんら役立たず、むしろパレスチナに限らず広く世界中に絶望的な意識を蔓延させ、テロを生みテロを支持する基盤を再生産する結果となっていることには疑いの余地がない。パレスチナ住民によるいわゆる「自爆テロ」の続発は、このような事態の端的な表れである。
  5. わたくしたちは、イスラエル政府に対して、今日のような事態を惹起したことに抗議するとともに、ただちにパレスチナの全占領地域から撤退すること、「オスロ合意」の基本的立場に立ち帰り、平和的な対話による解決を図ることを要求する。
    またアメリカ政府に対しても、今日その圧倒的な軍事力・経済力の故にイスラエル政府に対して強い影響力を持つ立場にあることにかんがみ、イスラエル政府の無法を支持する立場を改め、度重なる国連安全保障理事会の決議の立場に立ち帰り、その影響力を行使してイスラエル政府に対して、その無法を止めさせるよう全力を傾注することを要求する。
2002年4月
        民 主 法 律 協 会
   
 
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