声明・アピール・決議
小泉首相の「改憲」発言に抗議する決議
 小泉首相は、本年8月26日、自民党山崎幹事長に対して、結党50年にあたる2005年11月までに党の憲法「改正」案をまとめるように指示した。
 首相は、就任後、繰り返し「自衛隊が軍隊でないというのは不自然だ」と憲法9条を批判し続けてきた。また、テロ対策特別措置法と憲法の間には「すき間」があるとして、集団的自衛権の行使を違憲とする現在の政府の憲法解釈の積極的な見直しを示唆してきた。
 これに呼応するように、本年7月、自民党の憲法調査会のチームが、集団的自衛権行使を可能とする「憲法改正要綱案」を公表した。また、衆参両院の憲法調査会の報告が来年末までにはまとまる予定であり、そのなかでは憲法9条・前文を改正せよとの意見もさかんに出されている。さらに、米政権の軍事政策に影響力をもつといわれるパール元国防次官補は、テレビ朝日の番組で「日本は憲法を改正し、保安官の助手になるべきだ」と露骨に求めている。
 先般、国会で強行採決された有事関連3法案、イラク特別措置法は、まさに、日米軍事同盟下における軍事的要請としての「集団的自衛権、海外派兵」そのための国内基盤づくりと言えるものであった。
 従来の政府の国会答弁では、行使は、憲法の建前は専守防衛であるとして「集団的自衛権の行使は許されない」「イラクの戦闘地域には自衛隊を派遣しない」などとされてきたが、小泉首相や自民党は、正面から憲法9条を改正し、集団的自衛権行使を可能とし、自衛隊がイラク戦争のような米軍の海外での戦争に堂々と参加することに途を開こうとしている。
 しかし、21世紀の世界の流れは、国際紛争を軍事同盟の武力によって押さえつけるのではなく、国連中心による国際法と国際協調にもとづいた解決、秩序形成をする方向に向かいつつあり、まさに国際紛争を武力行使で解決しないとうたった憲法9条の理念が生かされる時代となりつつある。
 このたびの小泉首相の「改憲」発言、および自民党による改憲策動に断固抗議し、日本国憲法の理念を守り抜くことを決議する。

                      
2003年8月30日
                         民主法律協会 第48回定期総会
   
 
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