声明・アピール・決議
平和憲法に反する有事法制・イラク特措法の成立に抗議し、それぞれを発動させないことを求める決議
 先の国会において、有事関連3法案、イラク特別措置法案がそれぞれ成立した。
 平和主義、基本的人権の尊重、国民主権という基本原則に抵触するおそれがあるにも関わらず、わずかな審議時間で採決が強行されるという暴挙に対し、強く抗議するものである。
 有事関連3法案は、「武力攻撃予測事態」の定義は不明確なままであり、場所的範囲について、在外公館への攻撃の危険なども含み限定はないということであれば、「備えあれば憂いなし」どころか、先のイラク攻撃にみられるような米軍の侵略戦争について、自らも参戦していくための「侵略戦争の途を開く」ものに他ならない。また、物資、保管命令、民間人の土地・家屋の接収などが予定されるなど基本的人権を侵害するものである。さらに、有事における首相の地方公共団体や指定公共機関に対する指示権、代執行権によって戦争協力を強制命令することができる。
 イラク特別措置法案は、自衛隊が他国であるイラク領土で米英軍を主力とする多国籍軍を支援することをその目的とするものである。
 本法案に先立つ米英軍によるイラク侵攻は、自衛のためでも国連決議によるものでもなく、明らかに国連憲章に反するものである。イラク領土からは未だ大量破壊兵器は発見されておらず、米英軍による軍事占領は何らの正当性も有しない。また現在も戦闘状態が継続しているイラクにおいて、自衛隊が戦闘継続中の米英軍のために武器・弾薬・兵員を輸送することは、「非戦闘地域での後方支援」などにとどまらず、米英の武力行使と一体化するものであり、憲法に反するものである。
 我々は、このように憲法上の大きな問題を抱え、国民の意見も大きく分かれる中、わずかな審議のみで、強行採決がなされた有事関連3法案・イラク特別措置法案を、到底容認することはできない。
 更に政府は、今後有事法制を発動させるために「国民保護法制」「米軍支援法」等の制定や米軍支援のために自衛隊を世界のどこにも派遣できるようにする恒久法の準備に入っている
 民主法律協会は、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権という基本原則に抵触し、国際法規を無視した米英の侵略戦争へ加担することとなる有事関連3法案・イラク特別措置法案の強行採決による成立に強く抗議すると共に、有事関連3法案の発動のための個別法及び自衛隊派遣の成立に断固反対する。

2003年8月30日
                         民主法律協会 第48回定期総会
   
 
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